「ウォッチメン」をみた
2010/12/11
売り上げランキング: 166

万人ウケは微妙
ナイトオウルかっこいい!
悲壮感と映像美
ディレクターズ・カットは?!
だからどうなの?
惜しいなあ…。きっとこの映画、アメコミファンならすごく面白いと思うのだ。
ウォッチメンはいわば、アメコミによるヒーローものアメコミのパロディとでもいうべき作品だそうだ。
舞台は米ソ冷戦下、覆面ヒーロー活動が禁止されて(そもそも、そんなの誰も許可してはいないと思うが)しばらくしたアメリカなのだが、背景に米ソの核戦争による世界滅亡の恐怖がある。そういえば、そんな時代もあったんだなあ、と遠い目で回想するくらいに、冷戦というのは遠くなってしまっている。
で、ウォッチメンというのはそれを遡る少し前の時代に活躍したヒーローユニットの名前である。そこには、アメコミの典型的なヒーローをパロったさまざまなキャラが参加していた。…というのだが、ここに私のアメコミに対する疎さがあらわれて、なかなか入り込めない。
ナイトオウルというのは、なんとなくバットマン的かなぁ、と思ってみる。
ロールシャッハはトレンチコートにソフト帽という姿なので、若き日のブルース・リーが助手としてついていたグリーン・ホーネットを彷彿とさせる。(あ、キャラ設定はぜんぜんちがうが)
ま、その他の人もだいたいアメコミで一度は見たような姿をしている。
これらの人々は、そもそもが超能力を持っているようなヒーローではなく、腕っ節は強いが、肉体的に闘うだけの人々だ。
ところが、ウォッチメンの一員として、Dr.マンハッタンという本物の超能力者、というか、神に近いような能力をもっているキャラクターがいる。なにしろ、火星までテレポーテーションで一気に行ける、未来も過去も見通せる、原子を自在に操って物質を分解したり、再構成したりできる。
アメコミ系ヒーローとしては、スーパーマンがこれに近い能力を発揮したことはあるが、日本でこういうキャラを設定したら、絶対に怒られる。だいたい日本のヒーローは、腕っ節が強いだけの常人でもなく、全知全能でもない。非常に限定的な超能力を持っているというのが定番だ。
このDr.マンハッタンはその超常能力がゆえに、アメリカ政府に荷担してベトナム戦争を一週間で終わらせたり、彼がアメリカにいるというだけで核戦争への抑止力になったりという、なんともな存在なのである。しかし、彼にも出来ないことがあって、それは全面的核戦争じたいを止めることだ。(彼が99%の核兵器を無力化したとしても、残る1%で人類は全滅してしまう、ということらしい)
ま、こういう背景下で、ウォッチメンの一人が殺害され、残る仲間がその謎を追いはじめるところから物語がはじまるのだが、それはまあ検索していただいたら、どこかにストーリーが書いてあるはず。
日本とアメリカでは、そもそもヒーロー文化が違うのだけど、日本のヒーローはあまり社会に関わっていないような気がするなぁ。仮面ライダーには、ほとんど警察らしい警察すら描かれてなかったし。その点、戦前からヒーローを描いているアメコミは、さまざまな社会とヒーローとの関わり方が描かれているような気がする。