「しあわせのパン」をみた
北海道に月のきれいな「月浦」という村があるらしい。そこには美しい風景の中に湖(浦というから海か?)があって、それを望む丘の上にカフェ「マーニ」が建って約1年。
そのカフェを営む夫婦が原田知世と大泉洋。売り物は主人が焼く手作りパン。二階には宿泊できる客室もあって、村の常連のほかに宿泊客もちょぼちょぼとあらわれる。そんなカフェをめぐる、ほのぼのとした人間模様。
夏の風景からはじまり、四季を通して描かれていく。
夏の話は、東京から彼氏に沖縄旅行をすっぽかされて、反対に北海道へ来た女と、北海道から出られない男の出会いと恋。
秋の話は、母親が出て行ったせいで寡黙になった少女とその父親の和解。
冬の話は、関西から人生の幕を閉じるためにやってきた老夫婦が生きる望みを取り戻す話。
そしてふたたび春が巡り、カフェの夫婦はこれまで訪ねてくれた客たちにパンを焼いて送る。夫婦はどうやら子供を授かったらしい。
常にほのぼのとした雰囲気を漂わせるファンタジックな雰囲気。こんなカフェは現実世界にはないだろうなぁ、と思わせる一方で、どこかに存在していてほしいとも思わせる。
強烈な感動もないかわり、居心地もいい映画世界。
そう、この感じはよくふくらんだ焼きたてのパンを食べた時の感じに似ている。ふわふわ、さっくり。