コンテンツ評論 テレビ番組評

「#まれ」社会人になる

2015/09/26

津村希、志望通り市職員になるが

津村希、志望通り市職員になるが

第4週で主人公希(まれ)は高校を卒業して輪島市職員として勤務することになった。

今週(第7週)では市役所を退職して、子どもの頃からの夢であった(本人は否定していたが)パティシエ修業のために能登を後にして横浜に出たため、市職員としての物語は3週だけだった。

輪島市職員としての仕事は産業振興課の移住定住班というところで、輪島市域への移住者の面倒をみる係。
「あまちゃん」では観光という分野での地域振興が語られたが、本作では移住促進という分野を物語化するのか、とちょっと期待した。

併行して希の同級生圭太が輪島塗職人の修行をしている様子も語られているため伝統産業の振興というサイドからの視点もある。

だが実際のところ残念な結果に終わってしまった。

第4週では実際には家主桶作家の息子哲也が帰郷して「元治の塩田をつぶしてカフェを作りたい」と言い出す顛末と、わがままな移住者シタール奏者だという京極ミズハに振り回される様子。
第5週では移住者を装ってあらわれた経営コンサルタントの安西が輪島塗の量産化をもちかけて、心ならずも情報を漏らしてしまった圭太が祖父から破門を言い渡される顛末。

この両エピソードに共通するのは水戸黄門的な勧善懲悪思想で、伝統は絶対的善、改革は悪だという考え方だ。しかも、それぞれ解決らしい解決をみないまま幕を引かれてしまった。

主人公がせっかく産業振興課という部署にいるのだから、何が伝統産業の振興になるのか両方の立場の意見を聴いて悩む展開もできたのではないかと思うのだが。

第6週にはそれまで臭わせることもしなかったが、突然希の祖母幸枝があらわれて、希は祖母に感化されて実は子どもの頃からの夢であったパティシエを目指すことを決意する。

こう早く夢を追求するのであったら、最初に「私は夢が嫌いです」という作文で幕を開けることもなかっただろうに、と思ってしまう。普通に夢と現実の狭間で悩んでいただけのほうがよっぽど納得できたのだが。

全体に、コメディにしようとしつつ、主人公的にも演出的にも笑いに昇華しきれていないように思うのだ。突如「文さんクイズ」をはじめた第4週など、クイズをやりたいがために哲也の帰郷目的さえねじまげていたのだが、それでも盛大にすべっていた。

今日の回で、希はパティシエ修業の地横浜に到着し、新たなる登場人物群と出会い始めている。横浜編ではぜひ挽回してくれることを願っている。

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