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#あまちゃん 第11週「おら、アイドルになりてぇ!」再見

ある意味「あまちゃん」を象徴するフレディ花巻

ある意味「あまちゃん」を象徴するフレディ花巻

ここまでのアキは、いわば東京編につながるはずのないキャラだった。

北三陸の海と人が大好き。海に潜ることが好きで、出身地である東京は大嫌い。
そんなアキが、なぜアイドルになるために東京へ向かうのか?
その志はどうやって育ったのか? それを語るのが、この週だ。

小さな喧嘩はしながらも、なんとか折り合って暮らしてきた春子とアキが、本格的に衝突する。
そのきっかけが、家出に失敗したユイを励まそうとアキが企画した「海女~ソニック2009」。

3月でジモドル引退という春子との約束を破って「潮騒のメモリーズ」が復活する。それを知った春子の怒りに答えて、アキが本心を明かす。

「おら、アイドルになりてぇ!」と叫んだアキにとってのアイドルとは、周囲の人をもてなし元気づける存在。これは「あまちゃん」を貫くアイドル観だ。

そして、アキにとってそれは、夏ばっぱに教わったサービス業としての観光海女と本質的に変わらない。好きだから海に潜る、と同様に、好きだから歌ったり踊ったりする。もてなし方が違うだけで同じこと。いわばエンターテイメントの原点だ。

アキは言う。「オラぁただ、人が集まる場所で、歌ったり踊ったり潜ったりして、周りの人が元気になればそれでいい。それが『アイドル』だって言うならそうだし、『海女さん』だって言うんならそうなんだべ」

だが、その一方で町の人々は、アキユイを東京に逃がすまいと監視の目を固める。ふたりの存在は、北三陸にとってあまりにも大きくなりすぎたのだ。

いつものように、カットされたシーンを眺めてみる。第61回。ユイと水口が家出に失敗して町の人々に取り囲まれた時、水口はこんなことを言っている。「アイドルとして商品価値があると上層部が判断するまで、身分を明かさないというのが、スカウトマンの鉄則なんです。だから…美寿々さんには…いつか刺されるぞって、あの、ウニの殻割るヤツ(磯鉤のことか?)で刺されるぞって、刺される夢何度も見たし」これは別れのシーンの布石になっている。

水口がGMT47について説明する。その言葉に続きがあった。「ネット上に特設サイトを作り、常時投票できるシステムを確立して、ランキングによって立ち位置や歌うパートが日々変わるという、インタラクティブアイドルユニットなんです」後の国民投票にも通じる発想だが、これは太巻の構想だったのか、水口の夢だったのか?

その後、水口とアキがユイの家を訪ね、ユイの両親に説明をしている。功の質問は「全国各地から集まったアイドルの中で、ユイはどれくらいのレベルなんですか?」水口は明確に答えず口を濁している。東京編では、ユイこそセンター候補だとアピールしていたはずだが。決めるのは太巻だとしても、個人的見解と断ってそう言えばよかったのではないのか?

なお、このシーンでは、放送に乗った以外のご当地アイドルユニットとして、「ホタテっ娘」(北海道)「アップルぷるぷる」(青森)「遷都フォー」(奈良)「博多エプロン」(福岡)そして、喜屋武エレンの所属グループであった「初々しいサーズ」(沖縄)の名前があがっている。

そして、水口が北三陸を去るシーン。師匠の勉さんが水口に渡し、水口が待合室に忘れていった琥珀は、やはり水口が発見した虫入りの琥珀だった。そうだろうと思ったが、放送では確認できなかったのだ。貴重な虫入りの琥珀だからこそ、水口は受け取れないと言ったのだ。

このシーンは北三陸駅の待合室での出来事になっているが、もともとは安部ちゃんとの別れのように、袖が浜駅のホームで考えられたものではなかったか。美寿々が磯鉤を手に駆けつけていることから、そう思う。車で来たのなら、磯鉤はいったん置くはずだ。袖が浜駅なら走って来られるから、磯鉤を手にしていたとしてもおかしくない。
しかし、袖が浜駅でのシーンだとロケになるので、さまざまな事情で実現できなかったのではないだろうか。北三陸駅なら東京のセットで撮れるから。

これは他の本などですでに知っていたが、第65回、春子にはたかれたアキが走り去った後の会話。夏が「娘のこと笑えねえべ」と言って、少女時代の春子が芝居の練習をしていたエピソードを語る。インサートで、マネキン相手に金色夜叉の台詞を練習する春子のシーンが挿入される。そして、春子が劇団のオーディションを受けていたことが明かされる。春子は歌手一筋かと思っていたが、そうではなかったようだ。そういえば東京編で明らかになることだが、上京後の春子は歌だけでなく、映画やテレビのアシスタントなど、さまざまなオーディションを受けていた。

泣きながらユイの分までウニ丼を食べてしまうアキ

泣きながらユイの分までウニ丼を食べてしまうアキ

第66回。海女カフェで家出の相談をするアキとユイ。会話に後半があって、アキはその朝春子に「猫背の貧弱なメスの猿」と言われたと言って泣き出す。そのことからユイがうまく誘導して、家出する決意を固めさせていた。

東京が嫌いなアキが、ようやく地元である東京と向き合う決心をして、誰にも告げずに家を後にする。「涙のウニ丼」は個人的に一番泣けるシーンだ。

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