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#あまちゃん 第3週「おら、友だちができた!」再見

ミス北鉄になったユイ

ミス北鉄になったユイ

北三陸駅で、東京へ帰るために北鉄の車両に乗った春子、なかなか乗れないでホームにたたずむアキ。
ふたりが、同時に逆の動きで位置を入れ替えた後、ドラマではホームに降りた春子が手を伸ばしてアキを列車から引っ張り降ろす。ところがシナリオでは、アキが自分の意志で降りたことになっていた。

ここはドラマの動きのほうが正解という気がする。北三陸にとどまったのは、アキではなく春子の意志だ。東京に戻ればアキは、また元の暗い子に戻ってしまう。それを心配していた。

と同時に、ここまでの滞在で母親・夏との決着がついていないことも、気になっていた。両方の理由で春子は東京に帰らないことを決断したのだ。

第3週では、「あまちゃん」の大きなテーマである「町おこし」と「アイドル」というふたつの要素がようやく動き出す。
この週はシナリオから大きな発見はなかった。しかし、いくつか本編には取り入れられなかった要素が見つかる。

たとえば、第13回ユイと会ったアキは、「この町好き?」とユイに尋ねる。「わたし大好き。三陸の海も好き。潜るの大好き。人も好き。おばちゃん達の訛りも好き。じぇ!とか、んだんだ、とか。電車も好き。寂れた町も好き。シャッター通りも好き。まめぶも好き。全部好き。今日またそう思った」と一気に語る。

語らずとも、視聴者はアキがそのすべてを好きなことは知っている。しかし「寂れた町も、シャッター通りも」好きだと言われるのは、地元民としてはどうなんだろう? ともかくそうした地元民にはマイナスの要素にしか写らないことも、アキは好きになったのだ、ということがわかる。

この言葉は第1週にある「それでもアキはここが好き。ここにいる自分が好きです」というナレーションに対比される。第1週の段階では訪問者でしかなかったアキも、第3週ではここに住むことになって、あらためてこの土地を見直している。

第1週、第2週では、地元意識を戦わせるのは主に大吉と春子だったが、第3週になってようやくアキとユイの地元意識の違いが明確になってきた。
大吉と春子は、それぞれ北三陸に生まれながら出て行った者ととどまった者だ。
アキとユイは、外から来た者と、出て行こうとしている者という対比になる。

本筋のストーリーにはあまり関係ない枝葉だが、本編にない挿話をシナリオにみつけた。
第15回、ウニ丼を売るアキに鈴木のばっぱが声をかける。鈴木のばっぱはウニ丼を買おうと毎日来ているが、いつも売り切れだったのだ。アキはそんな鈴木のばっぱのためにウニ丼を取り置きしていた。
北三陸の名脇役鈴木のばっぱとアキの交流が、アキのこの町の人々への馴染み具合を表現している。

 

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