コンテンツ評論 テレビ番組評

「#あまちゃん: おら的ユイぶつ論~その5」

2013/12/26

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ユイははたして「逆回転」したのか?

「あまちゃん」の重要なテーマが、さまざまなものの「回復」にある、ということはたくさんの人が指摘している。その大事なキーワードが「逆回転」だ。

アキが幼児番組「見つけてこわそう」のパーソナリティとしてテレビ画面上で発揮していた「ぎゃくかいてん」、それは壊れてしまったものを再生させる力だった。それと同様に「あまちゃん」の物語では、さまざまな壊れてしまったものが、再生・回復していく。春子と夏の母娘の絆もそうだし、震災で被害を受けた北三陸の町が再生していくのもそうだ。

ユイもまた例外ではない。東京編の裏で、いったん壊れたユイの心が徐々に再生していく。

■ユイは「逆回転」したのか?

震災後、北三陸に帰ってきたアキの前にあらわれたのは、ヤンキーでも、引きこもりでもない、一見昔どおりに見えるユイだった。
しかし、アキはそのユイに違和感を感じる。奇妙に落ち着いたユイには、もはや「アイドルになりたい」という意欲が欠けていた。

第146話。東北ツアー中のGMT5が、北三陸にアキを訪ねてくる。梨明日でGMTメンバーと遭遇したユイは、彼女らが去った後、毒舌を吐きちらかし、復活をとげる。アキいわく「面倒くさいユイちゃん、おかえり」の名シーンだ。ユイは、いつの間にか書きためた「潮騒のメモリーズ現象 第二章」のノートを披露し、地元アイドルとしての「潮騒のメモリーズ」はここに再結成される。

しかし第151話。北三陸を訪ねたプロデューサー太巻に、ユイは「私、東京には行きません。ここでやっていきます。アキちゃんと水口さんと一緒に」と断言してしまう。太巻も苦笑して「それは…、カッコイイね」と言うしかなかった。

ここで疑問が生じる。ユイのアイドル志向は復活したのに、なぜ東京志向は復活しなかったのか? 「逆回転」はほんとうに起こったのか?

「逆回転」を「壊れたもの(絆・心)がもとの状態に戻ること、と定義するなら、ユイの逆回転は不完全である。

北三陸編におけるユイは、「東京へ行ってアイドルになる」という強い志向を持っていた。いわば、ユイにとって東京とアイドルとは不可分の存在だったわけだ。「潮騒のメモリーズ」として地元アイドルになったのも、東京でホンモノのアイドルになるための足がかりでしかなかった。

だから、第151話で「東京に行かない」と宣言したユイは、元のユイではない。ユイには本当は何が起こったのか?

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