コンテンツ評論 テレビ番組評

「#あまちゃん: おら的ユイぶつ論~その3」

■ユイ、ヤンキー化の謎

ユイに関する謎で、最大のものがこの「なぜヤンキー化したのか?」である。物語上は何の説明もされていない。

この変身は、なんと第81話の一回かぎりで処理され、この回のアバンタイトルではアキにメールを送り「もうちょっと待っててね」と前向きであったユイが、母親失踪後は自室に引きこもり、エンドではヤンキー姿に身をやつして北三陸駅に姿を見せるのだ。ジェットコースター朝ドラ「あまちゃん」らしい急転直下である。

天野春子がスケバンになったのは、理解できる。春子には、闘うべき袖ヶ浜の因習と、その象徴である母親・夏がいたからだ。それに春子は荒っぽい漁師村で育ったせいか、かなり粗暴な性格でもある。だが、ユイにはそういうヤンキー化の要因が見当たらない。

この謎を解く鍵となるのは、物語上「小太りの愛犬家」と言われている男性だろう。

北三陸は田舎とはいえ、複数のコミュニティで成り立っているはず。物語に登場するのは、海女クラブ/リアスコミュニティと、北鉄/観光協会コミュニティくらいであるが、他にもコミュニティはあるはずだ。

小太りの愛犬家は、いわば北三陸のヤンキーコミュニティの代表格だったと考えられる。彼が単独でツッパッているわけではなくて、彼にもヤンキー仲間がいるのだろう。そこでは、一定のヤンキーファッションが制服のように考えられていたのかもしれない。ユイは、ヤンキーコミュニティに適応しただけなのではないだろうか?

そこで、想像をたくましくしてみる。父親が闘病中で兄はその介護、その上母親が失踪して絶望にさいなまれたユイは、最初は自室に引きこもっていた。だが、引きこもっていたままでは、ヤンキーコミュニティとの接触はなかったはず。ある日、誰もいない家からフラフラと出かけたユイは、北三陸の町を徘徊、そこで出会ったのが小太りの愛犬家であり、ヤンキーコミュニティであった、というのはどうだろうか?

大事なのは、ヤンキーコミュニティがユイを受け入れ、仲間として行動を共にし、かつ癒しにもなったということだ。なんとなく、ヤンキー時代のユイが荒れに荒れていて、それを春子が救った、という図式に見えるのだが、癒しの第一段階はヤンキーコミュニティの中ですでにはじまっていたのである。

次の稿では、ユイがなぜ絶望したのか、を母親との関係で考えてみたい。

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