コンテンツ評論 テレビ番組評

「おら #あまちゃん の太巻を語る~その2」

'89年、春子と訣別時の太巻

'89年、春子と訣別時の太巻(第96話より)

(承前)

その1では、経営者としての太巻と、彼がGMT47構想をどのように考えていたのか、ということを想像で再構築してみた。

本稿では、いよいよ太巻と天野母娘との関係について考えてみたい。
この際の考えるきっかけは、第96話。
鈴鹿ひろ美のゴーストシンガーとして「潮騒のメモリー」を歌ってから3年。天野春子がついに太巻と訣別するシーンがこのエピソードにある。

この時太巻は所属する芸能事務所のチーフマネージャーに昇格していた。故郷の岩手に帰るという春子に対して、太巻はあと1年がんばってみることをすすめる。春子に対する恩義と、春子の才能を認めての慰留だ。それに対する春子の返事は「潮騒のメモリー」をもう一度歌って、デビューさせてほしい、というものだった。

■太巻の野望

なぜ、ここで太巻が春子を慰留したのか、それは後に明らかになる。
というのは、この年太巻は恋人関係にあった鈴鹿ひろ美と一緒に独立し、オフィスハートフルを立ち上げるのだ。いくら春子の才能を認めても、なかなか上を説得できなかった春子のデビューも、一国一城の主となれば進めることができる。それを見越しての慰留だったはずだ。

この独立だが、はたして鈴鹿ひろ美だけのための独立だったか、というとそれは違うと思う。
太巻が元ダンサーであることは、春子との最初の出会い(というかすれ違い)であったテレビのオーディション番組「君でもスターだよ」で描かれている。あくまで彼の目標はダンサーとして表舞台に立つことだったはず。芸能事務所の社員としてマネージャーをしているのは、あくまで糊口をしのぐための手段だったはずだ。

ひょっとすると太巻は、自身もダンサーとして復帰し、かつダンスグループを率いて表舞台に立つことを夢想していたのではないか。EXILEのHIRO的なポジションをめざすための手段として、まずオフィスハートフルを立ち上げたのではないか、と考えても無理はない。
彼の最終目標は、自分たちだけのための常設の劇場を建て、そこで毎晩ダンスパフォーマンスを中心としたステージを上演することだったのではないだろうか。そして、そこで彼はプロデューサー兼リーダーとして、スポットライトを浴びたい、と思っていたとも考えられる。

(Next : スケバン春子とダンサー太巻の因縁)

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