「鬼平犯科帳スペシャル~兇賊」をみた
2011/01/04
時代劇の定番ものはやはり、ほっとする。
「鬼平犯科帳」は火附盗賊改め方長官である長谷川平蔵を主人公とした物語。私は池波正太郎の原作も愛読している。剣戟と人情という、時代劇の定石をしっかり踏んでいるから、意外性はないが、安心できるつくりである。
出演者の平均年齢はとんでもなく高い。フレッシュさはみじんもないが、芝居達者がそろっているから、じっくりと芝居を楽しめるともいえる。
このシリーズ、盗賊や元盗賊が数多く登場するが、今回は小林稔侍演じる老賊と中村吉右衛門の平蔵とが、心を通わせるあたりが、見どころだろうか。吉右衛門はさすが当たり役だけあって、いつもどおりの鬼平像を演じるが、そろそろ他の役者の鬼平も見てみたい気がする。
しかし、火附盗賊改め方の同心たちが芋の調理に取り組んでいる姿は、さすがに原作にはないと思うのだが…。
「水戸黄門」など、スポンサーが松下のせいか、すべてハイビジョン撮影になってしまったが、このシリーズは、クレジットに現像という文字が入っていたから、フィルム撮影らしい。そのせいか、しっとりとした時代劇特有の情感が画面から漂ってくる。やはり、時代劇はフィルムに戻るべきだ。
制作は松竹京都映画。今はなき必殺シリーズの雰囲気がほのかに感じられるのはそのせいか。