「悪人(テレビ放映)」をみた
妻夫木聡演じる土木作業員の青年が、出会い系サイトで出会った若い女を殺す。
そして、同じく出会い系サイト で出会った、別の女と逃亡する。
ふたりは、逃げ延びながら交情のひとときを過ごすが、やがて青年は逮捕される。
大枠は、これだけ。
犯人と、一緒に逃亡する女との交情がストーリーの基本となり、被害者、加害者それぞれの家族が直面する心理や事情が、インサートされていく。
暗い話である。
「悪人」というタイトルである。
主人公であり、殺人犯であるこの青年は、はたして「悪人」であったのか、と問いかけているように思える。
この男は、母に捨てられて、祖父母に育てられたようだ。
病弱な祖父と、その介護をする祖母には、優しい孫である。
女を殺したのも、心を寄せた女のつれない態度に怒った一時の激情からだったようだ。
はたして、彼は「悪人」か?
彼の祖母を演じる樹木希林が、コミカルな演技をする時とは打って変わった鬼気迫る演技を見せる。
また、被害者を演じる満島ひかりが秀逸。出番は少ないのだが、キレのいい演技で、毒々しい今時の若い女を演じている。
この歳でこういう演技ができる女優は、少ないなあ。
もともと、深津絵里を見ようと思って見た映画なんだが、深っちゃんに対する感想は省略。
いつもながら素晴らしいよ。だが、驚きはなかった。