映像文化を語ってみる

コピーワンスを見直し

2010/12/28

ITmedia+Dに映像系エンジニア/アナリストの小寺信良氏が「神々の失墜、崩壊するコピーワンス」と題するコラムを寄せている。

リードによると、

総務省・情報通信審議会から、コピーワンス運用のデジタル放送に対して、規制緩和の要請が出された。ここでは“コピーワンスはデジタル放送普及の障害”という見方が明確になっている。答申内容を見ながら今までの経緯と今後の展開を予測してみよう。

ということだ。コピーワンスに関する要約としては短くてわかりやすい。

言うなればいつまでやっとるんじゃオノレらこんなことであと5年で乗り換えできると思っとるのかオラ、と総務省がしびれを切らした格好に見える。

 これまでJEITA案は、家電メーカー側の立場を取る経産省が支持しているのはわかっていたが、今回は放送事業を管轄している総務省がJEITA 案であるEPN(Encryption Plus Non-assertion)方式を支持したことで、かなり高い確率でコピーワンスが撤廃される可能性が出てきた。

というのが現在の状況である。EPN方式とは何か、ということに関しては、元記事を読んで欲しい。

そもそも、地デジというのはもうはじまっちゃっている放送なのだ。
現在の地デジはコピーワンス方式である。地デジに対応している機器というのは、すべてコピーワンスを前提に設計されている。

じゃあ、コピーワンスが撤廃されて、EPN方式とやらに変更されたとき、すでにユーザーの手元にある地デジ対応のテレビやらレコーダやらが、すんなり対応できるのだろうか?

小寺氏はこういう。

 ただEPNも、この方式に変更するということが消費者にとってどの程度の負担になるのか、今のところ具体的な資料がないため余談を許さない状況だ。JEITAとしては、EPNは現在の運用規定の中ですでに盛り込まれている技術であり、移行は難しくないと主張する。
(…)
 これまでもデジタル放送のコンテンツを直接見ることができなかったデバイスに関しては、ファームウェアのアップデートなどでは対応できず、ハードウェアの買い換えなどが必要になる。DVDプレーヤーなども、EPN記録されたメディアは再生できなくなる可能性は高い。またパソコンはソフトウェアの対応で可能なのかは、今後の展開次第のところがある。

「直接見ることができなかったデバイス」というのがよくわからないが、ひょっとするとあなたの地デジ機器は買い換えを要求されるかもしれないということだ。

ひどい話だとは思いませんか?
国をあげて、これからはデジタル放送だアナログ放送はいずれ停止する今のうちに買い換えよう地デジは画質が良くて便利だぞ、とキャンペーンしておいて、まだ基本となる規格すらしっかり定まっていなかったのである。

 総務省としては、デジタル放送への完全移行が大命題である。思ったよりもデジタル放送への移行が進んでいないのは、デジタル放送が知られていないから、というのが去年までの論理であった。だが告知やキャンペーンをあれだけ行なっても、一向に促進される手応えがない。ムーブに失敗するとかも含めて、コンテンツの利便性がアナログよりも劣るのであれば、デジタル放送への移行は必要ないと考える消費者が増えてきていることに気付いたわけである。

小寺氏はこう書いているが、はたしてコピーワンスが問題だったかはさだかではない。ひょっとすると消費者にとっては、そもそもデジタル放送への移行の必要性じたい、理解できないものだったのかもしれない。

こういうことになるのは、結局国もAV機器メーカーも放送局も、放送を経済行為、つまりお金を稼ぐための手段としてしか見てないことによると、私は思う。

放送のもう一面、文化のためのメディアという側面は誰も見ていないのではないか。文化のためのメディアであれば、その方式はできるだけ動かさないほうがメリットがある、という議論があってもよい。

今回のデジタル放送移行は、最初からデジタル化ありきではじまっている。それは、放送を経済行為としてしか見ていない証拠といえないか?

日本は、国をあげてお金を稼ぐことには熱心だが、文化を創り上げることに関心がない。独特な文化をたくさん持っている国なのに、こんなことでは日本はいずれ文化のかけらもない、薄っぺらな国になってしまうだろう。

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