平成徒然草

入札制度が税金を節約する目的ではない理由

2010/12/06

興味深い記事。

Bussiness Media誠「なぜ談合は悪いのか?――公共工事で余った880万円を返金しようとした、希望社の真意

岐阜県の建設会社、希望社が岐阜県発注の公共工事で行った驚天動地の行為。
「落札価格では利益が出すぎるから、880万円お返しします

ところが、岐阜県側は880万円の受け取りを拒否してしまう。

しかし、この拒否はある意味、当然の反応であろう。希望者が過剰利益と称する880万円を「ハイ、そうですか!」と受け取ってしまうようでは、 「発注者として岐阜県側が算出した予定価格や、そこからはじき出された最低制限価格は一体何だったのか」ということになり、その正当性を自ら否定するよう なものだからだ。

入札制度は、本来は税金の支出をできるだけ抑制するために実施されているはずだ。
だから、一番低い入札額を提示した業者が選ばれることになっている、と思っていた。
ところが実際は違うらしい。

最低制限価格というのがあり、この価格を下回った入札額を提示した業者は自動的に失格してしまう。

最低制限価格は、それよりも落札価格が下がると、品質の悪化や安全対策の不徹底、労働条件の悪化、下請け企業群の赤字といった事態が発生しかねないとい うことで、そのリスクを回避するために設けられているもの。そのため、入札価格が最低制限価格を下回った企業は失格となる※。

この最低制限価格が実際には岐阜県のケースのように、もともとの趣旨を反映していない設定になっているというわけだ。

希望者の会長はいう

ある案件に関して技術力が十分でない企業にとっては、最低制限価格を上回る価格であったとしても、品質の確保はもちろん、利益を出すことも困難です。逆 に、技術革新を行うなどして技術力を高めている企業や、血のにじむ思いをしてコスト削減を実施している企業から見れば、最低制限価格をはるかに下回る価格 でも、十分に利益を出し、品質を確保することが可能なのです。現状の入札のあり方に対しては、そうした技術力のある企業からも、技術力のない企業からも悲 鳴が上がっています。

ここから先は私の想像だが、このようにして建設会社が得た過剰利益は、少なくともその一部は政治家への献金や、自治体の裏金などに回っているのではないだろうか。もともと過剰な利益が存在しなければ、こうしたことに回すカネはないはずだ。

この記事は、現行の入札制度のほとんどが官製談合であり、企業努力や技術革新を否定する方向に向かっている、と警鐘を鳴らす。それはそうだ。血のにじむような企業努力をしてコストをセーブする努力をしなくても落札でき、儲かるのだ。

地方に行くと、建設会社しか産業のない土地が数多くあり、そのほとんどが公共工事を主にしている。
高度成長期はそれでよかったかもしれないが、もはやそんなことが許されない時代に入って久しい。
こういうことを繰り返していては、地方の浮上はありえないと思う。

ちなみに、件の岐阜県への返金の件は、まだ決着がついていないそうだ。

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