映像文化を語ってみる

YouTube時代の「編集」とは

2010/12/20

映像の編集というものについて考えてみたい。
ビデオ編集ソフトを開発・販売しているメーカーの人も含めて、編集というものを高度なものと考えすぎだと思う。

編集作業とは何か、それは二つの部分から成り立っている。
最初の部分が狭義のいわゆる「編集」である。
二つめの部分は、いわば「効果」と呼ぶことができる。
「編集」が主で、「効果」は従である。

狭義の「編集」はふたつの作業から成り立っている。

主たる作業は「不要な部分を省くこと」である。
撮影された映像には必ず不要な部分が付随している。
それを削るわけだ。

従である作業は「表現の意図に従って並べ替えること」である。
出来事の経過に沿って撮影されたものでも、必ずしもその順序で再生するのが表現上よいとは限らない。ひとつの例だが、一番おいしい部分を最初に見せることによって視聴者の心をつかむ、ということが考えられる。

以上のふたつが、狭義の「編集」の中身である。
これに対してビデオ編集ソフトの広告などを見ると、トランジション(場面から場面への移り変わりの効果)、テロップ(字幕)、PinP(画面の中に小画面を配置する)といった「効果」の部分がやたらとクローズアップされているような気がする。

実は編集作業の中で、おおかたの時間は狭義の「編集」に費やされていることが多い。制作する作品の分野によっても違うが、CMを除くほとんどの映像作品がそうだ。

さて、時代はすでにYouTubeに代表されるネット動画が隆盛である。
この時代に必要とされる「編集」とは何か?
極端な話、編集の根本に立ち返ってもいいと思う。

小さな画面の中で効果に凝っても仕方がないことが多い。
それよりは、ストレートに画面で語りかけたほうが訴求力が強いだろう。
YouTubeなどはアップロード時間が10分に制限されているし、ほとんどのユーザーが2~3分しか画面を見ないから、極端に絞り込んだ短い作品が有利だ。
効果といえば、ディゾルブ(オーバーラップ)とテロップ一本くらいで十分なのではないだろうか。それよりは、「編集」に力を入れるべきだと思う。

そこでビデオ編集ソフトのメーカーさんに提案なのだが、軽くて基本的な機能だけに絞ったネット動画用の編集ソフトを安く提供してもらえませんかねえ。

私の手元にはUlead VideoStudio10と、Cyberlink Power Director5という、いずれもエントリー用の編集ソフトがあるが、どちらもエントリー用とは思えないほど「効果」が豊富だ。そういうのも悪いとはいえないが、基本的な部分に絞ったほうが使いやすいのではないかと思う。

たとえば付随的な「効果」はプラグインパックにして、必要になるつどダウンロード販売で購入可能とかしたら、どんなものだろう?

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