「佐賀のがばいばあちゃん」をみた
2010/12/20
ここまで中途半端だと、それもまた芸術的である。
漫才師の島田洋七の幼少期を語る自伝の映画化。
広島から母の田舎である佐賀に預けられたアキヒロは、貧乏ながら明るく豪快に生きる祖母のもとで暮らすことになる。もっぱらその祖母のエピソードが中心。
洋七がトークで語る「がばい(すごい)ばあちゃん」談は面白い。だがそれも、彼の話術があっての話かもしれない。映画となってみると、貧乏にまつわる笑いのエピソード、人情話的エピソード、昭和30年代の片田舎の情緒、いずれもが単発で散漫に続く。
ばあちゃん語録も、吉行和子が口にすると、洋七が語るようには笑えない。町を歩くとき、鉄くずを集めて売るために磁石を引いて歩いている、というビジュアルはいいんだが。
オープニングから登場する三宅裕司は、大人になったアキヒロなのだろう。時々登場して子ども時代の自分を見つめている。島田洋七役というわけでもなく、会社員風のいでたちである。
エンドシーン、佐賀を去っていくアキヒロとすれちがうように三宅が登場したから、これはてっきり大人になったアキヒロが佐賀を訪ねると、まったく同じ風景の中に、歳をとった吉行和子のばあちゃんが、元気にまだ生きている、という展開かと思ったら、いきなりストップモーションしてエンドロールが流れてきた。苦笑モノだった。