コンテンツ評論 テレビ番組評

「なつぞら」を総括して

2019/09/30

なつぞらの一場面

「なつぞら」が終わった。

いろいろな意味で、残念な部分もあった意欲作だったと思う。

日本のアニメーションの黎明期を描く、といった珍しい趣向もありつつ、朝ドラならではの女性の半生記と家族の問題を描く、ある意味相反するようなドラマだった。

ネット上で見聞きした評判では「好き」と「嫌い」が極端に分かれたドラマだったという気がする。

同時期にBSで「おしん」の再放送が始まったということもあって、「なつは恵まれすぎている」とか「行儀が悪い」などの感想も目にした。

正直なところ私は「おしん」の苛烈さにはちょっと嫌悪感を抱いてしまうところがあって、適度に「ぬるい」本作のほうが楽しめた。

脚本は「てるてる家族」の大森寿美男氏だが、この人はそんなに緻密なほうではないと思う。けっこう大胆な発想をする作家だが、緻密に伏線を張って、見事に回収するといった部分は薄い。そのせいで、主人公の考えていることが伝わりにくかったりするのも仕方がないのかもしれない。

主演の広瀬すずについては(彼女にできる範囲で)よく演じたと思う。なつは、そんなに感情の起伏の激しい性格ではないだけに、演じにくいタイプの役だったのではないだろうか。「なつの考えていることがわからない」という感想は、上記のように脚本のせいであって、演者の責任ではないだろう。

クリエイティブな仕事をしている人を主人公に持ってくると、なかなか仕事の内側が描かれにくい。本作でも、なつがアニメーターとしてどう優れていて、周囲からどういう評価を得ているのか、わかりにくかった。アニメーション制作がチームプレーであることも影響しているだろう。

面白いと思ったレビュー

なつはなぜ愛されなければならなかったのか?〜『なつぞら』から考える,令和の朝ドラの方向性〜 - きょうもテレビの前

なつぞら』が描きたいのは,「なつを中心に本物の家族が作られていくこと」の光の部分,ハッピーな部分です

そうなんだろうな。

なつという「一度何もかも失った戦災孤児の少女」が、愛情あふれる他人の家で成長し、やがて育ててもらった家族、と血のつながった本当の家族、もひとつ言えば「家族みたいな仕事上の仲間たち」という家族たちに囲まれた人間関係を作り上げていく、という物語ですよ。「なつぞら」は。

その部分以外は正直アラも目立つし、不満に感じるところも多いのだが、そのハッピーさをありがたく受け取って、物語の完結を祝福したいと思った。

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