コンテンツ評論 テレビ番組評

「anone」をみた

最初に言っておく、広瀬すずは素晴らしい。田中裕子もよい。ヒールに徹した瑛太もよい。だが、脚本がイマイチであった。

「最高の離婚」「カルテット」など、好きなドラマをいくつも書いている坂元裕二脚本なので期待していた。

さまざまな寓意を含んだ偽札作りが絡まるストーリーは、まぁよしとしよう。

基本は、ハリカ、亜乃音、持本、るい子という4人が疑似家族とも言える共同生活を営むストーリーである。最終回でもそれはハッキリと打ち出されていた。
他人の4人がひとつ屋根の下で疑似家族のように暮らすのは、名作「カルテット」にも共通する。

ただ、「カルテット」の場合は、音楽家として成功していない四人に対する弦楽四重奏という求心力があった。本作ではそれが「偽札」ということになるのだが、4人が集まって来る経緯がもひとつハッキリしない。

広瀬すず演じる辻沢ハリカの場合は、幼なじみの病気という動機があった。亡夫の作った偽札をなきことにしようとしていた亜乃音が、中世古に孫の秘密をネタに脅されて加担するプロセスもキッチリ描かれていた。
しかし、持本やるい子の動機は今もって私には納得がいっていない。

しかも、持本やるい子が疑似家族に加わってくるプロセスがあまりにも省略されていたように思う。正直、この二人が存在せず、ハリカ・亜乃音・中世古という三人のストーリーだったらどうだったろう? ここにも10話を持たせないといけないという、民放フォーマットの縛りがかかわっているような気がする。全5話くらいだったら、この三人で十分持たせられたんじゃないだろうか。

小林聡美と阿部サダヲを起用したのは、それぞれ軽めの味を持った役者だからだったような気がするのだが、ストーリーの暗鬱さに飲まれて二人はその軽さを発揮できていない気がした。

繰り返しになるが、広瀬すずは素晴らしい。「ちはやふる」のような元気で明るい主人公でなくても、十分にその表現力を発揮することを証明した。来年の朝ドラ「夏空」への期待も膨らむ。

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