コンテンツ評論 テレビ番組評

「#べっぴんさん」仲間が集うまで

beppinsan0110月からはじまったNHK(BK制作)の朝ドラ「べっぴんさん」は評価が分かれているような気がする。

気になった記事。

NHK「べっぴんさん」が盛り上がらない理由 無口なヒロインとキャラ不足 - ライブドアニュース

 NHKの連続テレビ小説『べっぴんさん』がいまいち盛り上がっていない。視聴率20%を割ることも多く、前作『とと姉ちゃん』、前々作『あさが来た』と比べて、物足りなさを覚える視聴者も多いのではないだろうか。

記事の指摘は『元気がない』。その原因として、ヒロインが無口でおとなしい性格であること、面白さ担当の登場人物が見当たらないことをあげている。

たしかに「べっぴんさん」のヒロイン板東すみれは無口でおとなしい。同じお嬢様そだちであっても「あさが来た」の白岡あさはバイタリティあふれる性格で、女は家業にかかわるなと言われていた時代にどんどん事業に手を出していた。すみれは、戦争さえなかったら良家の奥様として静かに暮らしていただろう。戦争で家や家業を失い、夫も復員しなかったので生活のためにやむなく子供服製造に仕事を見いだす。

また、面白さ担当キャラもたしかに見当たらない。(当初、やたらコケる執事がいたが)どころか明るさ担当もまだ存在を確認していない。前作「とと姉ちゃん」まではたしかにコメディタッチの側面があったが「ぺっぴんさん」は今のところ絶対にコメディではない。

どこかに朝ドラには「コミカルさ」が必須という固定観念があるのだろう。一日の始まりである「朝」にみるドラマだから、元気を与える物語であってほしいという願望もある。

もうひとつ、「べっぴんさん」のここまではストーリーの展開がやたら早い。すみれの子ども時代に始まって、女学校生活、結婚と出産、戦争と疎開、空襲で焼け出されてバラック生活、生活苦から仕事をすることの決意、そして四人の仲間が結集するまでを最初の一ヶ月で終えてしまった。普通の朝ドラなら2ヶ月、場合によっては3ヶ月をかけるであろう物語を超高速で描いている。

「リニアモーター展開」という言葉を思いついたのだが、「ジェットコースター展開」というほど物語に起伏がないのである。まるで平地を超高速で疾走しているようなドラマだ。その結果、ひとつひとつのエピソードがやけに「薄い」。細かい描き込みがないのでそう感じるのだろう。

そして、ドラマの構成という点からみると、物語の視点がすみれ一人に偏りすぎている気がする。すみれ以外には、姉のゆりと潔の夫婦の動向が少しずつ挿入されているだけで、それ以外はほぼすみれ視点。起業の仲間である、良子、君枝、明美という三人も、ほぼすみれ視点でしか描かれていない。

物語的には暗い話ではないはずだ。たしかに戦後すぐの物資も食料も不足していた暗い時代だが、猛烈な明日への希望だけはあったはず。しかしお嬢様育ちのせいか、すみれに野心はなく生活の資を得るために仕方なく自分にできることをしようとしているだけ。口数も少ないので、明るさが感じられない。『元気がない』という指摘も当然だろう。

ただし、物語の雰囲気はとってもよいし、演出も技術も上質だ。芳根京子をはじめとするキャストもそれぞれ好演している。それだけにここまで『明るさ』を感じなかったのがとっても残念だ。

今日の放送で、すみれと一緒に子供服の仕事をする三人がそれぞれ参加を表明し、のちに「キアリス」と名付けられる会社の初期メンバーが結集した。これからは、すみれも孤軍奮闘ではなくなり、明るさも感じさせてくれるようになることを願っている。

-コンテンツ評論, テレビ番組評
-, , ,