コンテンツ評論 テレビ番組評

「#てるてる家族」をみた

2016/10/01

teruteru2003年度下半期だから、もう12年半も前の朝ドラ作品。いろいろと異色な朝ドラである。

主演は石原さとみ(語りも)だが、その姉役で上野樹里も出演している。さらに、SPEED解散後の上原多香子、宝塚を退団したばかりの紺野まひるを加えて4姉妹。今では考えられない豪華な布陣だ。いちおう末娘の冬子が語りをつとめるが、4姉妹全員がそれぞれの夢を実現していく過程を描いているので、全員がヒロインといってよい。

舞台は、大阪府池田市のサカエ町商店街。4姉妹の実家岩田家はパン屋と喫茶店を営む。

異色のひとつは、ミュージカル仕立てであること。突然登場人物が歌い出したり、踊ったりする。物語のセットで歌い踊るばかりでなく、ステージ風のセットなども登場する。最初は戸惑ったが、中盤少しミュージカルシーンが減ると寂しく思うようになった。

もうひとつの異色は、4姉妹の誕生以前から描いていること。父親の春男(岸谷五朗)が銀行員を辞めて佐世保でパン屋修業をするところから描いている。その中で順次4姉妹が誕生し、子役を経て成長した姿になる。そのため石原さとみをはじめとする大人としてのヒロインたちが登場するのも遅かった。子役からはじまるのが朝ドラとしては普通だが、誕生前から描くなんてはじめてみた。そのため、この物語は岩田家の年代記(クロニクル)としての性格を持つ。

驚いたことにこの物語はなかにし礼の小説を原作としており、そのベースはなかにしの妻の姉妹の実話だ。長女がフィギィアスケートのオリンピック選手、次女が歌手(いしだあゆみ。ドラマ中にはご本人登場もある)というのは実話らしい。

このドラマはBK制作ということもあってその台詞まわしや所作は新喜劇テイストに満ちている。「新喜劇とミュージカルと年代記の奇跡的な混淆」とでも言うべきか。非常に挑戦的な作品だ。笑って泣かせて歌って踊って、賑やかな朝の風景を形作る、楽しさに溢れたドラマだった。

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