コンテンツ評論 テレビ番組評

「湊かなえサスペンス~望郷~」をみた

boukyouTV東京系のスペシャルドラマ。人気作家湊かなえの短編を3本オムニバス形式でドラマ化したもの。
「湊かなえサスペンス」と銘打たれ、それぞれ人の死が関係しているが、サスペンス色は薄い。

3篇はそれぞれ独立していて登場人物などもダブる点はないが、舞台は瀬戸内海にある「白綱島」という島で共通している。

第1話「みかんの花」

島に暮らす主婦(広末涼子)と島を出て行って小説家になった姉(水野美紀)。姉が島を出て行くきっかけになったのが、自転車旅行で島を訪れてそのままミカンの収穫のアルバイトをしていた青年。実は母親(倍賞美津子)が青年を殺してしまい、姉はその罪を引き受けて島を出たというのが真相。

青年は大金の入った通帳を物色して発見され、逆ギレして母親に包丁を突きつけてもみ合いになる。そのまま気がついたら青年は死んでいた。この殺害の状況はどう考えても正当防衛。青年の遺体を埋める必要などない。しかも埋めてなおかつ20年経っても発覚していないのに、なぜ姉が島を出る必要があったかという疑問。

第2話「海の星」

子どもの頃に父親が失踪した島出身の洋平(伊藤淳史)が帰郷する。20年前の父失踪のあと、彼には漁師のおっさん(椎名桔平)が接近してきた。魚や娘の焼いたクッキーなどを持参し、自宅にもおっさんは出入りするようになる。おっさんが彼に近づいた真意を、20年後の今その娘(平山あや)が語る。実は、父親は海で水死しておりおっさんの網に引っかかっていたのだ。面倒を恐れておっさんは遺体を海に流し知らぬふりをしたが、後悔に苛まれて妻子に近づいたというわけ。

これは三話のうちでは一番納得できる真相なのだが、そもそもタバコを買いに出た父親がなぜ死んで海に浮かんでいたのかが不明。裏に何かありそうだが、語られず。

第3話「雲の糸」

島出身の人気ミュージシャン(濱田岳)が帰郷する。彼が生まれたばかりの頃、母親は父親を殺して服役した。それ以降彼ら一家は迫害され息を潜めるようにして島で暮らしてきた。成長して島を出、ミュージシャンとして成功した彼を迫害していた島の人々は手のひらを返したようにもてはやし利用しようとする。

この話、特にサスペンスでもなんでもなく、たんなる帰郷話。真相として明かされるのは、母親が父親を殺した理由。DV夫だった父親が息子に手を出そうとしたのを阻止しようと母親が刺したというのだが、意外でもなんでもない。だいたいそんなことだろうと見当はついていた。しかし母親が迫害されてなお島で暮らしていた理由は何も語られない。

 

三話とも、なんかモヤモヤしたものが残る後味の悪さを感じた。

 

-コンテンツ評論, テレビ番組評
-, , , , ,