コンテンツ評論 テレビ番組評

「#とと姉ちゃん」にみる他者志向ヒロインの伝統

totonee「とと姉ちゃん」がはじまってほぼ2ヶ月経過した。
高畑充希が演じるヒロイン小橋常子は今週からタイピストとして会社つとめを始めたので、先週までで第一部終了とみなしてもいいかもしれない。

ここまで本作をみてきて、ひとつ気になるのはヒロイン常子の行動原理である。

最近の朝ドラヒロインは、時に自分勝手にみえるほど「自分志向」の人物が多い。それに比べると、常子は非常に特殊である。常子は亡き父親(とと)から「家族の父がわり」を託される。だから「とと姉ちゃん」なのである。彼女は常に家族のことを優先し、自分のことは後回しにする。
自分の将来像として、「家族を守る」などの目標は立てるが、自分が何をしたい、どうなりたいという像は持たない。

本日の放送で、常子の発言として「困っている人は助けたいと思う」という言葉が出てきたので、常子は基本の行動原理として他者志向なのだな、と思ってちょっと納得した。

前作「あさが来た」の白岡あさをはじめ、「あまちゃん」の天野アキ、「カーネーション」の小原糸子など、最近の朝ドラヒロインはたいてい自分志向である。
「まれ」の津村希は、当初「他者を応援するヒロイン」としての役割を振られていたが、すぐにそれを忘れ、以降は実に自分志向な行動に終始した。

彼女らと比べると、小橋常子はあまり自分の主張を持たない。時に猪突猛進で行動派でありながら、基本の行動原理は他者志向に置いている。

でもこれもまた朝ドラヒロインのひとつの典型なのだろう。よく「お節介」などといわれる、他者に向かって介入していくヒロイン像というものも、たしかに朝ドラのひとつの伝統としてある。

最終的に小橋常子は「暮らしの手帖」をモデルとした雑誌を創刊するわけだが、それを決意するまでにどういう心理的な経過があるのか、そこにちょっと興味がある。

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