コンテンツ評論 テレビ番組評

「#あさが来た」総括

asagakitaすでに先週土曜日に最終回を迎え、次作「とと姉ちゃん」が快調に放映されているのだが。なんだか、「今世紀最高の視聴率」だったそうで、その人気ぶりがうかがえる。

放映開始当初は「絶対にはやらない」と思っていた「びっくりぽん」も、意外とあちこちで聞かれるようで、朝ドラの影響力や大である。

このドラマの勝因はやっぱり一に脚本の力、二に波瑠をはじめとする登場人物の魅力だろう。

脚本の面では、大森美香は「対比とバランス」ということに意識を注いだと思う。

何しろ、幕末期有数の富豪家に生まれ、後の事業でもほぼ成功をおさめた人物をモデルにしているのである。なかなか、一般庶民の視聴者の共感を得るのは難しいだろう。

その点、主人公に「はつ」という姉を設定し(史実でも姉はいたが早くに死んでいる)同じような家に嫁ぎながらも明治維新の激変を乗り越えられずに没落、さらには極貧の生活を経て農家として再起する姿を描き込んでいる。成功続きの主人公との対比により、どちらでも好きなほうに感情移入ができる仕掛けになっている。

こうした「対比の構図」は随所に見られ、「新次郎(主人公の夫)と惣兵衛(姉はつの夫)」「新次郎と五代友厚」「雁助と亀助」「千代と宣」など、どこを見ても対照的な人物で彩られている。

脇役の人生をもきっちり描く、というところが朝ドラにしかできない表現だろう。

もうひとつは「時代の変遷」をうまく描き出していること。これは以前にも書いたが、今やほとんどの視聴者が体験していない「大正・戦前の昭和」ではなく、よくフィクションで馴染んでいる幕末からスタートすることで、時代が変わっていく様子をうまく描き出した。

登場人物の格好も、ちょんまげの時代から断髪、和服から洋服へ変わっていくことで、見た目にも時代が変わる様子が表現できたこともある。後半、もうあまりビジュアル的に変わる要素がなくなっていったのが残念だった。

もうひとつ登場人物の魅力。新次郎や五代友厚など、魅力的な人物は数多いのだが、ここはやはり主役あさを演じた波瑠を素直に褒めたい。

波瑠はすでに民放ドラマやCMなどで馴染みの顔ではあったが、そんなに演技にたけた女優という印象はなかった。しかし、この朝ドラでずいぶんと成長を見せたと思う。

モデルとなった広岡浅子は、晩年の写真をみるといかにも「女傑」といった感じの堂々としたおばさんなのだが、波瑠が演じた白岡あさはどこか少女の面影を残した、しなやかな女性に描かれていた。

さすがに晩年のくだりになると、演じている年齢には見えなかったのはご愛敬だが。もともと実年齢よりは上に見える容貌のためか、40歳前後までは問題なく見えていたし。

台詞の中にも出てくる「やらかい心」を波瑠がうまく体現したのではないだろうか。

-コンテンツ評論, テレビ番組評
-, , ,