コンテンツ評論 テレビ番組評

「#あさが来た」と朝ドラの時代背景

AS20150602004780_commそういえば、毎朝楽しく「あさが来た」をみているのだが、このブログには「あさが来た」関連の記事を一度しか書いていない。「まれ」の時は結構書いたのだが。このブログは、文句のつけようがないドラマの場合は、どうしても終わってから書くということになってしまうようだ。

私が文句をつける気にならないと同じなのか、視聴率的にも「あさが来た」は好調のようだ。

大森美香の脚本の巧みさ、主人公あさをはじめとする魅力的な登場人物群、特にあさを演じる波瑠の好演などいろいろとその理由はあると思うが、ひとつにその時代背景ということがあるような気がしている。

「あさが来た」は朝ドラ史上はじめて、幕末スタート。つまり登場人物がちょんまげを結った時代からスタートした「まげもの」のドラマである。

朝ドラは大きく時代ものと現代ものに分けられ、時代ものの舞台となるのは大正から昭和初期ぐらいにスタートし、第二次世界大戦を挟んで戦後まで描かれる作品が多い。(例外的に「梅ちゃん先生」のような戦後オンリーの作品もある) 「あさが来た」は幕末から明治初期と、この時代もの朝ドラの範囲を大きく前倒しした。

それがかえってよかったのではないかと思う。かつて朝ドラの主要な視聴者である中高年の主婦層は戦争体験のある世代が多かったのだろうが、今ではごく一部の後期高齢者でないとその時代体験がない。その結果、ドラマや映画で描かれることの多い幕末のほうが馴染みがあるのだ。土方歳三や大久保利通、福沢諭吉といった歴史上の人物を登場される手法も、親しみやすさを増しているのだろう。

もともと朝ドラは、時代ものであっても大河ドラマのようなリアリティ重視の歴史ドラマではない。家族を扱うことが多い朝ドラは基本現代の家族関係を投影したものが多い。「あさが来た」もまたリアルなまげものドラマではなく、どこかファンタジーな現代風ホームドラマだといえる。

実は、私には今後朝ドラで描いてほしい時代がある。時代ものと現代もののちょうど中間の時代、昭和の戦後、それも80年代から90年代を舞台とした朝ドラをぜひ作ってほしいのだ。これは、今の視聴者の中心である40代くらいでも記憶に残している時代だ。時代的にも、第二次オイルショックからバブル景気、そしてバブル崩壊と経済的な激動のある時代。

「あまちゃん」で回想的に80年代が描かれたことはあったが、ここをメインとして描く朝ドラがあってもいいんじゃないかと思う。現代ものの朝ドラに新風を吹き込むきっかけにもなるだろう。

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