コンテンツ評論 テレビ番組評

「#まれ」世界一のパティシエへ?

2016/09/20

prm1508220015-p2ついに「まれ」も今日で最終回を迎えた。全体を総括しての分析はまた後日アップするとして、今回は自分のケーキ店「プチ・ソルシエール」開店から最終回まで。

希は塗師屋の女将業と併行して、みのりの勤める農協から開業資金を借りて自分の店をオープンさせる。この時期は、オープンしたもののなかなか客がつかず、苦戦するオーナーパティシエ希の姿が描かれる。

前クールの「マッサン」がビジネスドラマの一面を持っていたこともあって、小さい店ながらも起業の詳細が描かれるかと期待したのだが、やはり「まれ」はビジネスドラマとしては失格。

素人の私が考えてみても、経営戦略はいくつも思い浮かぶ。そうした策をひとつもとらず、なんとなく常連客ができて経営が好転するあたり、もうちょっとまじめにストーリーを練ってほしかった。

しかも希はその開店早々に双子を妊娠し、塗師屋の女将とパティシエと母親の三役をこなすということになってしまう。このあたり、Twitterでも女性視聴者から相当なブーイングが起こっていた。

しかも、気になるといえば母親の藍子、義母の直美をはじめ、家族同然と言われた外浦村のメンバーも、誰も具体的に希を助けようとしてくれないこと。結局、塗師屋の職人たちが救いの手をさしのべるのだが、まずは親族、それから家族同然と言われた隣人たちが助けてほしかったなぁ。

そうこうしているうちにちょっとした出来事が起こって父親の徹が失踪。かつて倒産させた会社の社員山口が逆恨みして、家族に危害を加えようとしたため、徹は家族と離れて暮らすことを選んだという。ところが、肝心の山口を説得するシーンが抜けていたため、とりようによっては徹が山口を殺害して逃げたともとれるイメージになってしまっていた。(ここはツッコミがいがあった)

そして、突然7年という時がすぎ、双子は小学一年生、希は30歳を越えて時間軸は今年2015年に飛ぶ。朝ドラで時間ジャンプはいつものことだが、この展開はもやもやが残った。

この最終パートで登場したのは「世界一のパティシエになる」というテーマ。輪島で小さな店をかまえて常連客もつき、家族も平穏で幸せに暮らしていたはずなのに、突然世界一への挑戦をはじめる希。

余談だが、「能登」「世界一のパティシエ」「横浜で修業して能登で開業する」などは脚本家の発想ではないと思う。おそらく脚本家のもとへ持ち込まれた時点で、そういう企画がたっていたのではないかと思うのだ。ドラマにそれらに対する愛情というか、熱のようなものが感じられない。大枠を決められた状態で書き始めた脚本家は、中盤の恋愛模様とか、一子との関係とか、そうした些末な人間関係部分にのみ力を注いでいたような気がする。

その証拠に「能登の食材」という言葉が登場するのだが、具体的に出てくるのは「元治の作る海塩」くらいで、後は何が能登の特産物なのかさえよくわからないままに終わった。能登にはさまざまな食材があるはずで、それをどのようにケーキに仕上げるのか、パティシエが主人公のドラマとしては、ましてコンクールなどに出場するのなら、そこが大事なはずなのだが。

で、結局世界一にはならなかったのだが、日本大会5位という意外な好成績をおさめる。能登の田舎ケーキ屋が日本ランキング5位なんてすごいことだと思うのだが、回りはみんな「残念だったね」という反応だ。

最終回は、とりあえず徹が帰還し、希と圭太はやっていなかった結婚式を突然とりおこなうことになって、一応形をつけたのだが、最終週付近はいままでほってあった伏線?いや台詞を回収しようとするのに必死になった感がある。

感想としては、朝ドラは毎朝少しずつ物語を見るので、プロセスが大事だということ。結果はともかくプロセスをじっくり見せなければ、視聴者はなっとくしないということだった。

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