コンテンツ評論 テレビ番組評

「#まれ 塗師屋の女将になる!?」

2015/09/26

images今週、主人公希はついに輪島朝市に自分のケーキ屋をオープンした。ということでまた一区切り。

そもそも希が能登に戻る決心をしたのは、夫圭太の祖父にして親方でもある弥太郎が病に倒れ、圭太も疲労困憊している状況だったので、夫を傍で支えたいと思ったからだった。

ところが多くの問題が週内に解決してしまう朝ドラの通弊から、希が能登に戻ってまもなくその大変な状況も解決し、圭太は次期親方に向けた修行をするということで、希は(かなり無理やり)塗師屋の女将としての修業をさせられることになってしまう。

このあたり、先に「希は能登に帰って塗師屋の女将修業をする」というストーリー上の都合があり、それに向けて状況や心理が作られている感じがした。
ストーリーの都合で人物を動かすというのは物語をつくる上ではよくあることだが、作者の腕はそれを自然に感じさせるかどうかだと思う。

希が能登に戻って感じたのは、「パティシエ修業という軸があった分、横浜編はまだ一貫していたなぁ」ということだった。能登に戻った希は「いずれはパティシエに戻る」と言い続けながらも、塗師屋の女将としての生活にはまり込んでいく。そして、そのシチュエーションの中で毎週出来事が起こっては流れていくのだ。

たとえば姑の登場。圭太との結婚のくだりでも顔を見せなかった圭太の母がいきなり登場して「希を塗師屋の女将として教育する」と宣言する。このあたり、視聴率の低迷に悩んだプロデュース陣が朝ドラでは定番ともいえる嫁いびりストーリーを取り込もうとしたのではないかと邪推してしまう。しかし、それも大きな流れを作り出すことなく、週内で解決し、姑は以降も時々登場はするものの、たんなる脇役におさまってしまった。

そうこうしているうちに希の父徹が失踪し、後には徹がまとめた「希が能登で開業するケーキ屋」の膨大な資料が残される。この資料を読んだ希はすっかり感化されて自らケーキ屋を開業するのだ。視聴者としては「あんた、パティシエ修業を途中で放り投げたやん」とツッコミを入れたくなる。

パティシエを目指した時も、絶縁していた祖母(フランス在住の有名なパティシエ)に軽く背中を押されただけで市役所をやめてしまったが、希というのはそういうフラフラとした性格なのだろうか? メインストーリーが迷走するばかりでなく、さまざまな出来事が唐突にはじまり週内であっさりと解決してしまう。なんだか悪い朝ドラの様相を呈しているようだ。

希が開業したパティスリー「プチ・ソルシエール」は当初はご祝儀相場に賑わったものの、すぐに閑古鳥が鳴く状況となった。横浜編では繁盛しているケーキ屋の日常が描かれたが、希はそこからケーキの作り方以外何も学ばなかったのだろうか?

 

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