コンテンツ評論 テレビ番組評

「オリエント急行殺人事件(フジ系ドラマ)」をみた

オリエント急行殺人事件 - フジテレビ「オリエント急行の殺人」といえば、アガサ・クリスティーの名作だ。およそミステリに関心のある人なら、一度は原作を読んだり、映画版を見たことがあるだろう。

そして、この作品の犯人像というのは非常に強烈なので、一度知ったら忘れることはない。

このドラマは、その名作の舞台を昭和初期の日本に置き換えて、三谷幸喜が脚本を書くというのだ。三谷といえば「古畑任三郎」で倒叙ミステリを数多く書いているし、期待しないわけにいかない。

そして、原作の名探偵エルキュール・ポワロに相当する役は、狂言師の野村萬斎が「勝呂武尊(すぐろ・たける)」という役名で演じる。

この名探偵勝呂が、まさに日本版エルキュール・ポワロとして成立しているのは、野村萬斎がこれをまさしく本業である狂言風に演じたことにある。他の出演者は、特に時代がかったふうでもなく現代劇的に演じている。その中にあって、勝呂はまさに狂言の登場人物そのもの、尊大にして時代がかっており、いい意味で「浮いている」。それが非常にポワロらしい。

二夜連続のこのドラマの第一夜は勝呂探偵を主人公として、まさに事件の発生から解明にこぎつけるまでを描いている。だが、問題は第二夜のほうである。

第二夜は、犯人側の視点で、この殺人の背景から準備段階、そして凶行までを解き明かしていく。ゆえにここには勝呂がほとんど登場しない。勝呂が引っ張っていった第一夜にくらべて、牽引力が非常に弱い。

そもそも、事件とそのトリックはよく知られているものなので、意外性というものは第二夜のストーリーにはない。

はたして、第二夜が必要だったのかなぁ? と疑問に思う。 合計にして5時間を越える超大作、芝居達者を集めた豪華キャスティング。だからなんとか持っている。才人三谷幸喜にしては、正直成功作とはいえないのではないか?

ただ、名探偵勝呂武尊を主人公とした昭和初期の探偵譚はぜひまた見たい。クリスティーの他の作品をもとにした次回作を期待する。

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