コンテンツ評論 テレビ番組評

#あまちゃん 春子のはるかな望み~その4~

2014/12/25

春子の後悔その1は母との和解

春子の後悔その1は母との和解

「あまちゃん」における天野春子はヒロインアキの母親であるとともに、夏ばっぱの娘でもある。

春子の物語として「あまちゃん」をみると、これは24年前に家出をして母を捨てていった娘が、母と正常な関係を取り戻す物語だということができる。(NHKの惹句の「人情喜劇」はこの側面をとらえたものだろう)

こうした多重構造は他の朝ドラにはほとんど見られないのではないか? 私が見始めたのは「カーネーション」から(それと再放送の「ちりとてちん」)だけども、それ以降の作品ではヒロインの母親は母親にすぎなかった。(父親とのなれそめのエピソードが挿入されることはあるけども、回想シーンにすぎない)

天野春子の最初の後悔は、もちろん1984年の家出にある。

直接の原因はもちろん、いったんはオーディションに参加することを認めながら、市長や組合長が訪問すると手のひらを返すように態度を変え、しかも対話を拒否した母親夏の態度に腹を立てたことだ。

しかし、春子の本心としては母親にちゃんと認めてもらい、見送ってほしかった。その思いは、ひねくれたかたちでアキの上京をめぐる問題が出てきた時に吐露される。

春子「あの時、今みたいに立派なこと言ってくれたら、ぜんぜん違う人生だったよ」
夏「春子、またおめえは…今その話蒸し返すのが」
春子「あるいは逆に、行くな! って止めてくれたら、それもまた違った人生だったよ。ていうか止めて欲しかったよ」第69回

春子の未熟さゆえか、夏におっかぶせてはいるが、実は家出した時のことが春子の心理に強い影響をもたらしていることがよくわかる。

この母親との関係は、その後夏からの謝罪を受け「あたし、謝ってほしかったのか…」と涙を流す(第71回)ことによって雪解けとなる。
(この時、春子は反対に自分が母に黙って家出をしたことを謝っていないのが、春子の子供っぽさを感じるところだが)

クドカンはしかし、この一回だけをもって和解とするのではなくて、さらに何段も春子の後悔を溶かしていく仕掛けを作っているのが非凡なところだ。

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