コンテンツ評論 テレビ番組評

「#ちりとてちん」をみた

2014/04/08

徒然亭若狭2007年10月から放映された朝ドラ。朝、BSプレミアムで再放送されていた。本放送当時は見ていなかったので、今回が初見。

福井県小浜市の塗箸職人の娘が大阪で上方落語家として入門する物語。
主演は貫地谷しほり。

朝ドラのヒロインというと(リーガルハイでツッコミに使われているように)明るい性格で猪突猛進型という常識を覆し、ネガティブでくよくよと思い悩む性格のヒロイン造形という点でも個性的な作品である。

主な舞台は大阪の天満と、主人公の出身地である小浜。

「あまちゃん」放映時からいろいろと聞いていたが、たしかに共通する点が多々ある。

モチーフのひとつとして若狭塗箸が使われているが、これは漆器でうるしの中にさまざまなものを塗り重ねて、それを研ぎ出すことによって模様として浮かび上がらせる。これと同じように、人生の中でも塗り重ねてきたものはいずれ表面に出て輝く、というメッセージがこめられている。

このドラマの特徴は、長大な脚本を見事に織りなす複雑な伏線とその帰結である。とにかく構成が見事だ。ストーリーが進むにつれてほどけていく物語のひとつひとつが、前半の展開に伏線として織り込まれている。それも自然にだ。

「あまちゃん」も同様だったが、時にはほったらかしの部分もあった。本作はほとんどそういう部分がない。これは作者の性格かもしれない。

もうひとつは、登場人物への愛情である。主人公はもちろん、レギュラーの脇役、たった一回しか出てこない「あわれの田中」といったゲスト的な登場人物にいたるまで、見事に造形されている。それだけでなく、レギュラー陣ひとりひとりにそれぞれの人生、その物語が用意されているのは素晴らしい。

そして、物語や人物をかたち作るに当たって上方落語の主要な演目が援用されていて、全体として上方落語の持つおかしみやペーソスがほのかに感じられるドラマになっている。

コメディとしての朝ドラの最高傑作のひとつ、という気がする。

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