コンテンツ評論 テレビ番組評

#あまちゃん 第25週「おらたち、いつでも夢を」再見

北三陸にGMT5が訪れる

北三陸にGMT5が訪れる

東京編登場人物の北三陸詣でが続く。

今度北三陸を訪れたのは、かつてのアキの同僚、GMT5と彼女たちの同行マネージャーに落ち着いた河島である。アキは昔の仲間たちとひとときの交流を楽しみ、滅多に有名人の訪れない北三陸の住民たちは浮き足立つ。

そして、GMTの来訪はユイに火をつける。GMTが去った後、ユイは人が変わったように毒舌を吐き、ここに潮騒のメモリーズは復活をとげる。

この週の焦点は、ふたつの復活劇だ。ひとつは今書いたようにユイ。そして、もうひとつは海女カフェ。

震災後1年を経ても、海女カフェの復活は手つかずだった。当然、衣食住が十分でない時に、エンターテイメントは後回しになる。だが、ユイの復活がGMTの来訪をきっかけとしたように、外からのアクションが背中を押す場合がある。海女カフェの復活の場合は、鈴鹿ひろ美がリサイタルを開きたいと言い出したことがきっかけだ。

そしてこれは「歌手・鈴鹿ひろ美」の復活でもあった。もちろん視聴者は、それが春子の影武者のおかげだと知っている。春子は、レコーディングスタジオで鈴鹿の謝罪を受け、積年の恨みをいっぺんに解消した。春子はそれで終わりだと思っていたかもしれない。

第147回。スリーJプロのオフィス。リサイタルを言い出した鈴鹿が春子に言う。「あなたは影武者だったことを告白してスッキリしたかもしれないけれど、私はまだ渦中にいるんです」そう。鈴鹿もまたこのフェイクによって「声」を奪われた被害者だったのだ。ここで、第101回。アキの夢の中で、若春子と追いかけっこをしていた鈴鹿の言葉を思い出す。「私の歌を返して!」

虚をつかれた春子の表情が、逆回転はまだ終わっていなかったことを物語る。小泉今日子は、こうしたスッと魂が抜けたような表情が実にうまい。夏との和解、太巻との和解、すべてその瞬間春子の顔から生来の勝ち気な表情が消え、こうした魂の抜けたような表情があらわれていた。

第148回。アキと春子の電話。春子と正宗の再婚に触れ、アキが「結婚式は?」と言い出す台詞を発見。最終盤に行われる、三組合同結婚式の布石だ。

漁協の仮事務所で言い合う海女クラブをユイが「口じゃなくて手動かしませんか?」と一喝した後の春子ナレーション。「みんな目に見えてイライラしてる」の後「震災直後にあった笑顔が消え」という部分がカットされていた。

海女カフェでアキの前に若春子があらわれる。放送ではここで若春子がアキに汚れたアキ版「潮騒のメモリー」のCDジャケットを手渡すのだが、それはシナリオにはない。演出の発案なのだろうか。これは何を意味させたかったのだろうか?

第150回。アキから鈴鹿さんが来たと報告を受けた後の春子と正宗。正宗が「仮にも大女優相手にさ『歌がぶさいく』とか『音程プス』とか『耳殺し』とか」と春子に苦言を呈する。春子は「だって音痴って言っちゃいけないんだもの」

その鈴鹿さんはアキの寝ている春子の部屋に入り込んで、この部屋を使わせてくれ、と言い出す。気持ちを作るには持って来いだそうだ。鈴鹿の作りたかった気持ちというのは、どんな気持ちなのか。その部屋は、アイドルを夢見ていた頃の春子が、一人その準備をしていた場所だ。鈴鹿は、春子になりたかったのだろうか?

鈴鹿がはじめて修復中の海女カフェを訪れたシーン。後半がカットされていたが、チケットが売り切れになっていることをヒロシが言い、勉さんが「オラぁ買えねがったがら、外で声だげ聞ぎます」と言う。梨明日の常連、勉さんがどうしてチケットを買い漏らしたのだろう?

かくて、海女カフェの逆回転が成功して舞台装置は整い、最終週のイベントである鈴鹿ひろ美リサイタル、そしてお座敷列車に向けて物語は進む。

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