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#あまちゃん 第18週「おら、地元へ帰ろう」再見

ついに対面した春子と鈴鹿

ついに対面した春子と鈴鹿

春子が東京に来た。アキにとって最強、あるいは最凶の応援団だ。

この週は、春子と鈴鹿ひろ美の対面ではじまり、いったんクビを宣告されたアキの復帰、そしてデビューにからんで、再度の、そして最終的なGMTからの脱退。そして再出発。

アキのクビを取り消させたのが鈴鹿で、いったん復帰したアキを最終的に脱退させたのが春子だった、というのは象徴的ともいえる。そう、「あまちゃん」はこうした逆転を数多く描いてきた。

逆転といえば、海女のはずのアキがアイドルになり、アイドル志望だったはずのユイが海女をめざすという逆転が提示されたのもこの週である。

この週は「あまちゃん」をアイドルのドラマではなく、アイドル論、アイドル批評のドラマとして成立させている色の濃いストーリーともみえる。アイドルの資質、あるいはアキをアイドルたらしめている資質についての言及が多い。

鈴鹿のとりなしによってアキが復帰したのだし、GMTのデビューも「1週間で1万枚売らねば解散」という条件つきながら決まったのだから、アイドルのサクセスストーリーならこの条件を見事にクリアし、ステージを登っていくのが当然だ。しかしクドカンはそうしない。

春子が太巻のプロデュースに異を唱え、アキを無理矢理脱退させる。春子には春子なりの理屈があるのだろうが、アキの意志を無視した行動ともみえる。事実、Twitterではこの春子の行動を横暴と断じるツイートが多かった。ある意味春子はアイドル挑戦を認めなかった時と同じで、アキの意志ではなく自分の思惑でアキを振り回す。これも過去の因果のひとつだといえる。

「事務所をクビになりました」とアキ自身は言うが、これは太巻側からみると勝手な離脱で、太巻がほんとうに悪質だったら春子に損害賠償請求をつきつけただろう。(実際、ベロニカの追加招集、制作物の作り直しなどで費用が発生したはずだ)

第103回。鈴鹿に向かって春子がいう。「でもこの子は違うんです。田舎が好きで田舎に好かれたんです。たった1年しか居なかったけど、アキのおかげでみんな笑顔になって元気になって今も元気なんです」これは、アキの出発間際にアキに向かって言ったことの言い直しともみえる。

第105回。純喫茶アイドル。甲斐さんにアキが、大吉・安部・正宗などを紹介する台詞がある。「春ちゃんの横にいるの、旦那だろ」正宗は春子とアイドルで話して以来この店の常連になったと語っていたが、最近は来ていなかったのだろうか? このシーンの最後に甲斐さんが「こっちで春ちゃんがやり残したことって何だろうな」と呟くのだが、甲斐さんはそれを一番知っている立場だったはずでは?

第108回。純喫茶アイドル。ウェイトレスのバイトをはじめたアキが水口のバンド時代の話を聞くシーン。最初アキは「水口さんがバンドマンだったなんて初耳ですが、それを訊いたら思うツボなので聞こえないフリをしました」「聞こえない作戦、失敗です」これはユイが「アイドルになりたい」と言った時の台詞の繰り返しだ。「あまちゃん」は音楽劇の側面があるが、音楽的なドラマでもある。音楽的というのは、筒井康隆によると「繰り返しが多い」ということらしい。

その続き。アキの台詞で「みんなして奈落がら出たい出たいって言ってだげど、振り返ってみると、その奈落が一番面白がったな」というのがある。太巻がこれと同じことを言っていたのが面白い。

太巻が加工したGMTの歌声。「太巻マジック」などという台詞があったので放送当時思い切り期待した。太巻マジックではなく、大友良英マジックをだ。それが思い切り普通だったので、コケた記憶がある。まあ、それで良くなったとも思えなかったので、春子の言うことにも説得性があったということだ。

この週のタイトルは「おら、地元へ帰ろう」だが、そのとおりこの週のラストでアキは地元に帰ることになる。生まれ育った、世田谷へ。

 

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