コンテンツ評論 テレビ番組評

#あまちゃん 第14週「おら、大女優の付き人になる」再見

屈指の名場面「涙のナポリタン」

屈指の名場面「涙のナポリタン」

アキはひとまずGMTとしての下積み生活に馴染み、前週のラストで邂逅したあこがれの女優、鈴鹿ひろ美の付き人をつとめることになる。

一方ユイの母親が失踪、ユイは絶望感からかヤンキーに姿を変えてしまう、というのがこの週のあらすじ。ヤンキー化したユイを春子が見とがめ、週3回梨明日でバイトさせるようにする。

ユイのヤンキー化については、「おら的ユイぶつ論~その3」~その4」で詳しく論じたが、その時の論拠を否定するようなものは、シナリオから見いだせていない。

この週の前半は種市との再会がメインだ。無頼鮨での対面シーンは、アキと種市の対話だけでほぼ形作られている。
ここは、アキの感情の流れが見ものだ。遠く離れたユイに思いをはせ、種市とユイの関係に拗ね、かと思えば隣席にあらわれた鈴鹿と太巻の会話に耳をすませたり、さらには種市を泣きながら怒る。能年玲奈は、そのすべてをまるで自分の感情のように表現してみせた。

第79回。寮でGMTのメンバーが今日オーディションに行く、という話をしている。入間によれば「『着信ナシ』っていうシリーズ、どうせ途中で殺される役でしょ」ということだ。この『着信ナシ』、スリーJプロダクション立ち上げ後、アキがずらりと並べられた台本から自分のやりたい仕事を選ぶとき、その一冊として登場していた。

第80回。鈴鹿ひろ美が太巻と無頼鮨で差し向かいのシーン。放送には乗らなかったこんな台詞がある。「マネージャーとも電話連絡だけで半年会ってない」
後に判明したことによれば、この当時鈴鹿は個人事務所であった。個人事務所の専任マネージャーならば鈴鹿以外のタレントはいないので、現場に来ないというのは解せない。考えられるのは、大手事務所にマネージメントの窓口のみ依頼していたというケースだろう。いわゆる『預かり』である。それならば、デスク・マネージャーに会わないのも理解できる。。

第81回。変わり果てたユイが北三陸駅にはじめて姿をあらわすシーン。ト書きにはこう表現してある。「脱色した金髪をゴムで留め、眉毛も脱色して金色、どぎつい色の口紅を塗り、禁煙パイポをくわえ、バイク雑誌を抱えている。(可能な範囲で)」括弧内はNHK朝ドラということへの配慮か。ここで注目したいのは、バイク雑誌だ。ユイが急にバイクに興味を持ったということはないだろう。暴走族のコミュニティに話を合わせるために買った、というのが納得できる解釈ではないだろうか。

第82回。アキが鈴鹿ひろ美の五段階評価をしている場面があった。アキによると「『性格』『知性』『母性』『酒癖』『演技』の5項目。『演技』だけが突出していて、あとは1点」さすがに知性1点はひどいと思うが。
続いて「鈴鹿さんは夜7時までしか働きません」というナレーションがある。鈴鹿によると「我が儘じゃないの、夜は肌が荒れてきちゃうから。キレイに映るのが仕事だもの」アキが補足して「完璧な状態でカメラの前に立ちたいという、プロ意識の現れなんです」

アキが「鈴鹿さんは芝居だけやってりゃいいど思う」と言ったあと、こうつけ加えている。「趣味どが面白味どが、いらねえど思う。仕事が面白ければ、それでいいど思う。オラの婆ちゃんがそうだった。海さ潜っている時だげ活ぎ活ぎしてだ。んだ。鈴鹿さんは、オラの婆ちゃんみでぇだ」「だがら、かっけーんだ、夏ばっぱも、鈴鹿さんも」

第83回。「あまちゃん」屈指の名場面のひとつ、「涙のナポリタン」。春子に促されて、大吉、菅原、吉田、勉の4人の男たちがユイを慰めようとして言葉を思いつかず、譲り合うシーン。シナリオでは「譲り合う」とまでしか書かれておらず、その後勉さんがユイの前に座り、「チーズかける?」と声をかけるのは現場でのアドリブだということは、メモリアルブックなどで知っていた。勉役の塩見さんはトークショーでも「勉さんが言わせた」などと語ったそうだが、今回再見してみると、背後から(たぶん吉田役の荒川良々の声だと思うが)「チーズ、チーズかけろ」という声が聞こえていた。

-コンテンツ評論, テレビ番組評
-, ,