コンテンツ評論 テレビ番組評

#あまちゃん 第1週「おら、この海が好きだ」再見

2013/12/26

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」完全シナリオ集 第1部 (単行本1(5000円未満))
シナリオを一話ずつ読みながら「あまちゃん」を再見していこうと思う。
さすがに一話ごとにブログに書くのはしんどいので、1週ごとに感想や気づいたことをまとめて書く。

第1週「おら、この海が好きだ」を、シナリオとともに見直してみた。
まずシナリオを読み、それから録画を再見する。この手順で、全156話を通してみていこうと思う。
暦の上ではディセンバーを迎えたばかりだが「あまちゃん」は全26週あるから、年をまたぐかもしれない。

第1週は私が一番好きな週である。何より、久慈の美しい風景に溢れている。
アキはまだ何者でもなくて、たいしてしゃべりもしないが、それだけに表情のひとつひとつが新鮮だ。

第1週のシナリオで注目したいのは、東京に育ったアキが、春子のいう「地味で暗くて、向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子」になぜなったのか、というところだ。本編では切られているが、注目すべき記述がいくつか見つかった。

ひとつは、第3話リアスにはじめて入った春子がアキのことを語るシーンだ。本編にはなかった、こんな台詞がある。
「子供の頃は天真爛漫?見てるこっちが疲れるくらい元気だったんだけど、だんだん口数が減って…」
そして、モヤシを落とした音が聞こえた、というあのシーンにつながっている。

さらに第4話。夏ばっぱに海に突き落とされた後、漁協で海女たちと話すアキは、両親が自分のことについて話しているシーンを立ち聞きするのだが、ここで春子は正宗に向かって「あなたがプレッシャーをかけるから、アキは地味で暗くて、向上心も協調性も存在感も個性も華もないパッとしない子になっちゃったでしょ」と責めるのである。(第5話にこのシーンが繰り返され、そちらは本編に残っているが、正宗からのプレッシャーという部分は切られている)

それに続いて、アキは東京での自分について、友達も彼氏もおらず、登校はしても早退を繰り返していた、ということを語っている。(ここで語られたことのいくつかは、後にユイに向かって語られたことと同じだ)

アキは自分の殻を脱ぎ捨てるために、海に飛び込む

アキは自分の殻を脱ぎ捨てるために、海に飛び込む

この第1週は「あまちゃん」の物語全体からいえば前史のようなもので、東京の女子高生黒川秋が、いかにして我々の知る天野アキに変身したか、が語られている。上記のことでより明確になってきたのは、東京時代のアキが明らかに環境不適合に陥っていた、ということだ。

春子の語るところによれば「頑張って、中学から私立の進学校に通ってるんだけど、ついて行くのがやっとで」ということだが、挿入された学校のシーンなどからいうと、やはり成績うんぬんより、学校のコミュニティ自体に不適合だったと思う。

春子が正宗を責めているところなどからすると、正宗が主導して進学校に入学させたようにも思われる。正宗は、21歳からタクシー運転手として働いているから、大学には行かなかったか、もしくはドロップアウトしたか。いずれにせよ、それが正宗のコンプレックスになっていて、娘のアキには無理にでも大学進学をさせようと思ったのかもしれない。(後半で明らかになる正宗のキャラクターとは矛盾するような気もするが、とりあえず当初設定としてはそうなのだと思う)

はっきり語られていないが、正宗は金持ちの子で、親に反発して大学を辞め(あるいは行かずに)、家を飛び出した男なのではないだろうか。たとえば親戚ほとんど医者といった一族であれば、正宗の学歴コンプレックスは納得がいく。アキの通っていた学校も、医者や実業家の子女が通うお嬢様学校であったとすれば、タクシー運転手の娘であるアキが親の職業ゆえに仲間外れになっていた、ということもあるかもしれない。

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