ネットとコンテンツの関係論

TVCMに新時代は来るのか

2010/12/12

TVCMが広告の華である時代はまだ終わりそうもないが、この世の終わりまで続くわけでもなさそうだ。

ITmediaがウォールストリートジャーナルからの転載記事として伝えているところによると、

 米Googleは次の大きな野望の1つを追求するための足場を築いたところだ。その野望とは、視聴者がどのテレビCMを見るかをコントロールし、消費者の関心に合わせてCMを調整するというものだ。
(…)
 「われわれはこれまで公言してきた通り、テレビCMをユーザーにとっての関連性の高いものにし、既存のおよび新規の広告主にとって測定可能で説明できるものにすることで、テレビCMに付加価値を加えることができると考えている。その一環として、現在少数のパートナーおよび広告主と密接に協力して、小規模の初期段階のテストを行っている」とGoogleの広報担当者は語る。

つまりどういうことかというと…。
TVCMをはじめとするマス広告の性質が変わりはじめる、ということだ。

TVCMは広告としては非常に単価の高い広告である。なぜかというと、ターゲットを絞ることができないからだ。
薄毛に効く薬の広告は若者に見せる必要はない(中には必要な若者もいるが)生理用品の広告は男性に見せる必要はない。転職情報誌の広告は中学生に見せる必要はないし、リクルートスーツの広告は団塊の世代に見せる必要はない。
しかし、TVCMでは視聴者を絞り込むことはできない。せいぜいターゲットが視聴しそうな時間帯を選ぶことができるくらいだ。

ここでGoogleが言っていることが実現するとしたら、TVを視聴するうちに見せられるCMが、すべて自分をターゲットにした広告だという時代が来るかもしれないということだ。

これはもちろん、電波を使った現在のテレビでは不可能に近いことだが、IPテレビなら普通にできると思うし、CATVでも出来るだろう。

そういう時代になれば、あなたは頭髪が気になるくらい薄くなっていない限り見た目に地毛と区別のつかないカツラの広告は見る必要はない。

それは広告主にとってみれば、実に理想的な媒体戦略がとれる時代だ。おそらく10%に満たないターゲットのためにTVCMを出稿している企業は数多いはずだ。彼らはできれば、自分たちの商品に興味を持たない視聴者のために、わざわざ媒体料を払ってCMを上映してやる必要はない、と密かに考えているかもしれない。

しかし、視聴環境としては、はたして理想的な時代だろうか。

私はあまり酒を飲まないので、酒のCMを見ても酒を買う気にはならないが、しかし酒のCMには映像作品として好きなものがいくつもある。同様に、化粧品のCMを見ても化粧品を買うことはないが、そこに登場する美女たちは大好きである。酒のCMも、化粧品のCMも入らないテレビ、すべてのCMが自分に向かって「買え、買え」と迫ってくるテレビを見るくらいなら、いっそCMの入らないテレビのほうが好ましいかもしれない。

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