映画・DVD評(洋画)

「STAR WARS エピソード3 シスの復讐」ふたたび

2011/01/05

劇場ではじめてみた時にも書いた(7/19『「スターウォーズ エピソード3 シスの復讐」を見た』)が、今回DVDで再見するにあたって、アナキンの変化に注意してみることにした。

Story
ジョージ・ルーカス監督が壮大なスケールで描く一大叙事詩「スターウォーズ」サーガを締め括る最終章。アナキン・スカイウォーカーがフォースの暗黒面に転落し、ダースベイダーに生まれ変わる過程と銀河共和国の終焉...(詳細こちら


エピソード2までのアナキンは、正義と愛に熱い心を持ちながらも、復讐心に我を忘れるという一面も持っている青年として描かれている。(現代日本のいわゆる「キレる青少年たち」と共通するものを感じる)

エピソード3は、つまりこのアナキンがシスの暗黒卿ダース・ベイダーへと変貌する過程を描く物語といえる。

エピソード3の冒頭、アナキンはジェダイの掟に背いてすでに戦闘力を失っているドュークゥー伯爵を殺す。パルパティーン議長の支配を最初に感じさせるシーンだ。しかし、この段階ではアナキンは暗黒面へ走る動機を持ち合わせていない。

アナキンに暗黒面への傾斜を感じさせる直接の動機は、その直後に妻であるパドメの死を予感させる夢を見ることであらわれる。それは単に予知夢であり、パドメ自身は死を予感していない。

パルパティーン議長は、そのアナキンに対してシスの持つ暗黒面の力を語ってみせる。人の死さえも左右することのできる強大な力だ。アナキンは、ここではじめて暗黒面の力に魅力を感じる。

それは、すでに彼がパドメの死を避けられない未来として受け止めており、パドメを救う手段が他にないと信じたからだ。

どうも納得がいかないのは、単なる予知夢にすぎず、何ら現実的に影を見せていないパドメの死を、なぜアナキンが避けられないと信じたか、だ。パドメが死期を予感したわけでもなく、誰かが予知夢の現実化を示唆したわけでもない。

合理的な解釈は、すでにパルパティーンのマインド・コントロール下にあったという考え方だ。しかし、描写にはそれは感じない。

アナキンを取り込もうとするパルパティーン議長は、ジェダイ評議会にアナキンを評議員の一員にすることを要求。評議会はそれに対して、評議員の資格は与えるもののマスターには昇格させないという決定をする。

このことへの不満のため、アナキンはジェダイ評議会から心が離れていく自分を感じる。

しかし、アナキンは、パルパティーン自身がシスの暗黒卿であることを知り、ジェダイ評議会に注進。この段階ではまだジェダイに対する忠誠心は残されているようだ。

それが最終的に崩れるのは、パルパティーン逮捕に向かったマスター・ウィンドゥを阻止した時である。ここで、アナキンは最終的にジェダイに背いてシスに忠誠を誓い、ダース・ベイダーの名を与えられる。

ここから一気にアナキンは暗黒面に落ちていき、かつての仲間であるジェダイの殺戮に走る。しかし一方、パドメを思いやるなど、普通の人間としての感情は、ここに至っても消滅してはいない。

しかし最後に、別行動していたオビ=ワン・ケノービがアナキンを追跡、対決によって最終的にアナキンを倒した。だが、アナキンを弟同然と思ってきたオビ=ワンにはとどめを刺すことができず、立ち去ってしまう。

この後、銀河皇帝となったパルパティーンが瀕死のアナキンを探し出し、失われた四肢を機械で補い生命維持装置を備えたマスクとスーツを与えることによって再生させた。

再生なったアナキンは「パドメは生きているか」と問いかける。しかし、その時すでにパドメは双子を出産して後息絶えている。銀河皇帝に「お前の怒りがパドメを殺した」と言われ、アナキンは苦悶の声をあげる。

ここでアナキンの人間らしい心がほぼすべて失われ、暗黒面の権化であるダース・ベイダーが完成することになる。

わからないのは、パドメがなぜ死ななければならなかったかだ。
劇中「肉体的には健康なのに、生きる意欲がない」と説明されている。だが、子供を生んだばかりの母親がはたしてそんな状態になるだろうか。

アナキンがすでにダース・ベイダーと化していることを知ったとしても、子供に対する愛がパドメを生かさないと嘘のような気がする。

前の疑問と合わせて合理的な解決を見出すならば、パドメが死病に冒されていたことにした方が、アナキンが暗黒面の力を求める動機づけにもなり、納得できるような気がするけども。

私が脚本を書いているなら、きっとそうする。しかも、その病の原因は銀河皇帝が彼女に毒を与えたことにする。完全にアナキンが銀河皇帝の手のひらの上で踊らされていたことを明白にするために。

それはともかく、最終的にアナキンをダース・ベイダーへと追いやったのはオビ=ワンだと思う。死につつあるアナキンを放置して立ち去った後、アナキンの心は憎しみで満ちたにちがいない。生き返らなかったら、化けて出ただろう。

エピソード4(第一作)につながなければならない、という条件のために、ややストーリーに無理を感じたのは、劇場で見た時と同じ。

今回のレビューは、アナキンをめぐる心理だけに集中した。
VFXやアクションは、スターウォーズ全作の中でも傑出しているものだと思うし、十分に楽しめたことを付記しておきたい。

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