コンテンツの育て方

「専門家ジャーナリズムを支えるネット」という発想

2011/01/05

今夜は、両親と親戚の一人と夕食をともにしたのだが、その席で出た話題は例の「姉歯建築士」の問題であった。

父親は大学で建築関係を教えていた人間で、親戚は某大手ゼネコンで構造設計を専門とする建築士なもので、当然の展開ではあった。

今回の問題が発覚するまで、建築に構造設計という分野があることを知っていた一般人が何割いただろう。父の言うのは、一級建築士の資格を持てば建築に関することが何でもできてしまうこと自体が問題だという。構造の問題が前回広く取り上げられたのは、阪神大震災の時だったそうだ。

私は建築畑でもなんでもないので、こう言った。
「建築の問題は一般人が理解するのには難しすぎる。建築を専門としながら、建築にかかわる問題を提起しつづける専門家ジャーナリストはいないのか?」
どうやら、存在しないらしい。
「そんな活動をしても、食えないからな」

このような専門家ジャーナリストの活動すべき場所は、おそらくインターネットだろう。テレビはもちろん、雑誌や本も、専門的すぎる問題ではなかなか発表の機会を与えられない。何か問題でも起こって一般の注意が喚起されない限りは。

インターネットなら、コツコツと専門的な問題に関してジャーナリズムを展開することは可能だ。発表に関しても制限はない。そうして地味な活動を続けている専門家ジャーナリストがいたとしたら、今回はたぶん各メディアに登場して大活躍しただろう。本の執筆依頼も来たにちがいない。

また、こうした専門家ジャーナリストが常に注意を喚起しない限り、姉歯のような問題も数週間すれば別の話題に取って代わられ、忘れられてしまうだろう。

しかし、当面まったく収入にはならない専門家ジャーナリスト活動を続けていくのはよほど意思の強い人でないと難しいだろう。特に何の話題にもならない時には。

ネット上の優良なコンテンツにある程度のペイを与える仕組みがあれば、こうした専門家ジャーナリストの活動を支えるインセンティブになるに違いない。

ひいてはテレビ、雑誌、出版などのコンテンツの供給増につながるのだから、そうしたメディア各社が共同出資でそんな仕組みの確立をしてくれないものだろうか。

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