コンテンツ評論 小説・エッセイ評

「イノセント・ゲリラの祝祭」を読んだ

イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7)海堂尊のメディカル・エンターテイメイント小説。
「チーム・バチスタの栄光」にはじまる、田口・白鳥シリーズの4弾目なのだが…。

バチスタは、とにもかくにもミステリーだったが、本書はミステリーではない。
法医学と解剖の問題をテーマにしているが、具体的な事件を追うものではない。

それどころか、病院がほとんど登場しない。
主な舞台は厚生労働省の検討会。つまり、これは世にもマレなる「会議小説」なのだ。

 医師として海堂尊がAI(死亡時画像診断)の導入を提唱していることはよく知られているが、これはいわば小説のかたちをとったその趣意書といってもいい。と同時に、医療と行政との問題の告発書にもなっている。

登場人物のひとり彦根は、外科医から病理医に転じた経歴といい、作者その人の分身であろう。本当は本人が実生活でやりたかった妄想を小説にした、といってもいいのかもしれない。

そんな物語を、エンターテイメント小説としてともかく成立させてしまう、というところに海堂尊の力業を感じた。

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