平成徒然草

電気用品安全法に思う(2)

2011/01/04

経産事務次官が「至急対応策を考える」と表明していた電気用品安全法(PSE法)だが、日本の官庁にはめずらしいことにすみやかに対応策が出てきた。

ITmediaニュースによると

 電気用品安全法(PSE法)に適合したことを示す「PSEマーク」なしの家電などが4月から販売できなくなる問題で(関連記事参照)、経済産業省は3月14日、“ビンテージ物”のアンプなど希少価値の高い電子楽器などを同法の「例外」とし、PSEマークなしでも簡単な手続きで売買可能にすると発表した。中古品販売事業者が中古品にPSEマークを添付する場合の手続きも簡素化する。

 対象は、電子楽器、音響機器と、写真焼き付け機、写真引き延ばし機、写真引き延ばし用ランプハウス、映写機で、(1)既に生産が終了しており、他の電気用品で代替不可能で希少価値が高いと認められる、(2)旧法(電気用品取締法)に基づく表示などがある、(3)取り扱いに慣れた人に対して国内で販売する――という条件にあてはまると認定された場合。例外申請の方法や審査基準の詳細については今後詰めるとしている。

詳しくは経産省のサイトからPDF書類がダウンロードできる。

世間の声にこれだけ敏感に反応したということでは、経産省にある程度の評価は与えてしかるべきだろう。

しかしながら、まだまだ不十分だ。「とりあえず、これらは他に品物もないだろうから、目こぼししてやる」という態度にすぎない。そもそも、PSE法でより規制の厳しい旧法にもとづいて製造された製品の中古販売を規制する「意味」があるのか、ということから考え直すことが必要だろう。

零細映像屋の立場から今回のPSE法問題を考えると、業務用ピクチャモニタ(テレビモニタに似ているが、映像を味付けせず正確に表示するという測定器的な性格を持つ受像器)が対象になっているのが困る。

業務用VTR(ビデオテープレコーダー)も対象品目に入っている。昨今のデジタル化によって制作の必須要件とはならないので、ピクチャモニタよりは問題が少ないかな、と思う。

業務用ピクチャモニタは当然高価で、個人営業の制作者は中古だが状態のよいモニタを探すなどして入手していた例が多いと思う。こうした安価なピクチャモニタが入手できないとなると、家庭用テレビなどで代用することになるが、これは正確に映像信号を反映しないので、映像状態の把握が甘くなり、世の中に出回る映像作品のクォリティが下がることになる。

ビンテージもの電子楽器などとは違い、別に代替品がないという状況ではないのだが、ちょうど最大手メーカーであるソニーがCRT(ブラウン管)ピクチャモニタの製造を中止し、液晶モニタに変えたばかりというタイミングだ。液晶モニタはより高価であり、また映像表示に不安もある。そのため中古であってもCRTタイプのモニタを求めるクリエーターも多いのだ。

このように、電気製品は文化を支えている部分も多いのだ。

そういえば「親指シフトのワープロが手に入らないと原稿が書けなくなる」と騒いでいたコラムニストの勝谷誠彦氏は、その後番組等で何も発言しないが、どうしているのだろう。親指シフターの会でも立ち上げているのだろうか。

ものLog「電気用品安全法に対抗するために(2)

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