映像文化を語ってみる

ビデオカメラはどこへ向かう?

2010/12/28

映像系エンジニア/アナリストの小寺信良氏がITmedia+Dに「表現機としてのビデオカメラ、次のステップ」と題するコラムを寄せている。この一文が、示唆に富んでいて面白い。

小寺氏は、まず静止画のデジカメにおける変化に注目する。つまり、一眼デジカメブームである。消費者は一眼デジカメで画づくりの楽しさに目覚めた、という点を指摘している。

次に、ビデオカメラのユーザー層の変化に注目する。ビデオカメラの主力ユーザーは今も昔も子供の成長記録を目的とするパパ・ママ層なのであるが、それに加えて団塊の世代を中心とするシニア層がユーザーとしてボリュームを増してきている、とする。

それらの着目点をもとに、小寺氏は技術的な部分に切り込んでいくのであるが、そこはまあ上記のコラムを読んでいただきたい。

たしかに、カメラとしての表現能力という点は非常に興味がある。生活経験に富んだシニア層が、趣味人としてビデオカメラを扱っていく上で、一眼デジカメに近い表現能力を求めることは想像に難くない。それはまた、映像の「文化」にとっても奥行きを広めることになるのではないだろうか。

しかし、本質的な問題は他にある。デジカメがこれほどに普及した背景には、プリント(紙焼き)に頼らない文化、つまりメールのファイル添付やWebサービス上での写真共有の普及がある。つまり、ネットの普及により、デジタルサービスに障壁の少ないデジカメが選択されたわけだ。

では、今後ビデオカメラで撮影された動画は、どのようなサービスで利用されることになるのか、それによって向かうところが決まると思うのである。特に趣味性の高いシニア層にとっては、作品をどのように発表できるか、というのは大事である。

当然、現在ではDVDという選択肢がある。簡単にDVDプレイヤーで再生できる、という方向性ではDVDカメラが近い。また、HDDカメラの中にも、DVDドライブを接続することによって、簡単にDVDオーサリングができる機種が存在する。

次に来るのはネット上の動画投稿・共有サービス系だろう。ただし、シニア層はPCに弱い人が多い。また、ネットサービスでは無編集のまま長時間のコンテンツをアップロードする、ということは事実上無理である。

そこで、次に出てくるのは、ネットにつながり、編集もできるカメラであろう。無線LANを搭載し、キーボードやマウスを接続することによって、テレビの前で簡単な編集(カット編集のみならず、字幕入れなども)ができるというビデオカメラがきっと出てくる。

こういうカメラであれば、苦手なPCを操作する必要もない。また、ここまでするなら、DVDドライブを接続すればすぐDVDも焼ける機能は搭載するだろう。

動画投稿サービスも、汎用のPC向けサービスより、カメラメーカーが立ち上げ、カメラでしかつながらない専用サービスというのが出てくるだろう。ブログに貼り込むことより、遠くにいるユーザー(友人・家族)が保存したいと思えば、カメラにダウンロードできる、といった中継性が重視されるだろう。また、ネットサービス上で作品を公表し、コミュニケーションがとれるという、コミュニティ性もしだいに発展してくると思われる。

こういうカメラ・サービスであれば、団塊の世代は結構投資を惜しまないに違いない。おそらくは全体価格アンダー50万くらいのクラスで出てくるだろう。

さて、どのビデオカメラメーカーがこれに先鞭をつけるのか、楽しみである。

-映像文化を語ってみる
-