映像文化を語ってみる

サブリミナル

2010/12/28

TBSのニュース番組で安倍官房長官の顔写真が無関係のニュースの間に挿入されていた、ということがあり「私の政治生命を傷つける意図だったとしたら大変なことだ」と安倍氏はカンカンになっているという。まあ、総裁選前の大事な時期だから当然だが。

ZAKZAKの伝えるところによれば、事実はこうだ。

 注目の特集は、旧日本軍で生物・化学戦研究を行ったとされる悪名高き731部隊の隊長だった石井四郎軍医中将が、日本に上陸する米軍を細菌兵器で攻撃しようとしていたことを報じる内容。

 冒頭、番組キャスターが報道内容のあらましを紹介した後、カメラがTBS社内にある小道具部屋を伝って電話取材中の記者に迫る途中、山積された小道具の一角に置かれた安倍氏の顔写真が約3秒間もハッキリと映っているのだ。

 このカメラが記者にたどり着くまでは約5秒。印象的な速いコマ送りで放映されたが、安倍氏の顔写真が画面中央に映ったときには、記者が「ゲリラ活動?」という声をあげ、そのテロップが安倍氏の顔写真の下に重なるおまけも。

この映像、YouTubeに早速アップされたようだが、TBSの要請で削除された模様。

この記事で久しぶりに「サブリミナル」という言葉を見た。

 この映像を見た放送評論家の志賀信夫氏は、安倍氏の顔写真が映った瞬間、「サブリミナルっぽい。この場面では全く関係ないからね」と話した。

 サブリミナル効果とは、一般的には感知しないほど短い映像で視聴者の潜在意識に訴えかける映像手法。TBSは平成7年5月、オウム真理教関連番組の中で、教団代表の麻原彰晃被告の顔などのカットを無関係な場面で何度も挿入し問題になったことがある。

 今回の放送では、安倍氏をハッキリと認識できることから正確にはサブリミナルではないが、志賀氏は「ボーっと見ていて、全く意識しないところで目に飛び込んでくるから『サブリミナル的』といっていい。(視聴者に)無意識に働きかける可能性はある」と指摘する。

有名な話で、映画のフィルムに数秒に1コマだけ映画の内容とは無関係なコーラの絵を挿入したところ、観客にはコーラが映っていたことは認識できなかったのだが、劇場内のコーラの売り上げが増加した、という実験結果がある。

効果のほどは疑問視する向きもあるのだが、なんとなく伝説的に伝わっている。

映像は、論理よりより多く感情にはたらきかけるものだから、たしかに無意識的な誘導というのは無視できないのだけどねえ。

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