コンテンツ評論 テレビ番組評

「医龍3」を全部みた

フジテレビ系、坂口憲二主演の医療現場ドラマ。
「医龍」もシリーズ3まで来たが、やや手詰まり状態の感じを受けた。

医龍3このシリーズは、「TEAM MEDICAL DRAGON」というサブタイトルを持つくらいで、チームというものがメインテーマになっている。
「医龍(1)」は、天才外科医朝田龍太郎を中心として、明真大学にバチスタという高難度手術を行うためのチームが出来上がっていく過程が、シリーズプロットになっていた。
「医龍2」では、このチームがいったん解体され、舞台が北洋病院に移り、そこでダメ医師たちを再生させて新たなチームが出来上がっていくプロットだった。

今回のシリーズでは、基本「医龍(1)」のチームを引き継いでいる(多少の異動はある)ため、シリーズ1や2にあった「チームが出来上がっていく」プロットは基本的にとれなかった。
そのかわり黒木という新キャラクターが登場。「チームを信じる男(朝田)」と「チームを否定する男(黒木)」の対立、外科手術とカテーテル術の対決、などが、プロットになっていた。

しかしまあ、この種の「対立」のプロットは、少なくともテレビドラマでは着地点がだいたい決まっている。
外科手術とカテーテル術は、所詮適応範囲がちがうので、いつまでも対立という形はとれない。
後半はコンビネーション、コラボレーションの形になっていく。
しかも、チームを否定していたはずの黒木は、最後には「おまえはチームの一員だ」という朝田の言葉を受けて死んでいく。

チーム形成のプロットは後半にいくほど盛り上がっていくのだが、対立のプロットは着地の準備をはじめたとたんにしぼんでいくことが多い。

もうひとつ、シリーズとしての「医龍」の特徴は、野口という究極の敵役の存在にある。
医療現場ドラマで、ライバルとか障害というのではない権力者としての敵役という設定は、他に類を見ないと思うのだが。

「医龍(1)」では、副主人公である加藤が野口の後任教授になるための手段として、朝田を引き入れバチスタ手術の実績を作ろうとする。
この教授選に向けての対立が、裏のプロットだった。

今回シリーズでも加藤が再登場するが(「医龍2」には登場しなかった)、単なるチームの責任者という立場に終始している。
教授選のような独自の目的を持たないため、副主人公というより脇役に終わっている。

一方野口も、シリーズ1や2のような絶対権力者の設定ではなく、途中いなくなったりする。

このあたりも、後半ダレを感じさせた要因だったのではないか、と思う。

さて、いつの日か「医龍4」はあるのだろうか?

フジテレビとしてはヒットシリーズだし、ある程度時間をおいたら再登板も考えてはいるだろう。
だが、今回のシリーズを見たら、なかなか難しいものを感じる。

やるとしたら、大きな変化を取り入れるべきだろう。

まず人物的には、朝田、伊集院、野口以外は総入れ替えする。
舞台も、明真大学ではなく、もっと設備や人材のない環境に設定する。
いっそ、シリーズの幕間に朝田が赴任しているような紛争地帯のNGOそのものを舞台にするという手もあるかもしれない。
そこで、人もおらず設備もないゼロの状態からチームをどうやって作るのか、というようなプロットを作ったら、新生医龍の誕生になるかもしれない。

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