ネットとコンテンツの関係論

経産省が作る仮想映像センターとは

2010/12/28

なにやら経産省が映像コンテンツの振興に乗り出すというニュースが入ってきた。

フジサンケイ・ビジネスアイが伝えるところによると、

 経済産業省は、新人映画監督や無名のアニメ作家などの作品を、インターネット上で映画製作会社や配給会社など事業者向けに紹介する「仮想映像センター」を新設、運営に乗り出す。同省は来年度予算で、映画などコンテンツ(情報の内容)振興策として数十億円を新たに要求する方針にあり、その目玉事業になる。

 仮想映像センターを新設するのは、コンテンツ関連業者が新人クリエーターや映像作品を発掘するのを支援するのが狙い。映画監督を目指す人の作品などを電子情報として収集、データベース化し、制作会社や配給会社の担当者らがネット上で閲覧、興味を持ったクリエーターなどにアクセスできるようにする。

たしかに国がこうした振興策を出してくることは喜ばしいことではあるが…。

今なら映像クリエーターもYouTubeやDivX stage6などの動画投稿サイトを通じて自分の作品を自由にアピールできる時代である。こうしたデータベースがどれほど効果を発揮するのか、気になるところである。

えてしてお役所仕事というのは、とりあえず作りました、というところで止まっていることが多い。予算を取ることが目的だから、作ったものが利用されているか、効果を発揮しているかどうかには無関心ではないだろうか。

データベースを作ることはよい。しかし、はたしてどれくらいのクリエーターが登録するのか、どれくらいのコンテンツ事業者がそこにアクセスして情報を引き出すのか、ということだ。このふたつが揃わなくては、おそらく税金の無駄遣いに終わる。

同記事にはこうもある。

 こうした構想が生まれた背景には、映画などコンテンツの制作現場や資金調達の仕組み、現在の配給システムなどが硬直化していることがある。収益性を重視し、著名な映画監督などに制作発注が偏るなど、新人を育成する余裕がなく、結果としてコンテンツ産業の国際競争力が低下しているとの指摘がある。

このデータベースが育成に何かの寄与をするか、というとほとんど皆無だろう。

なぜならば、このデータベースは基本的にマッチングシステムでしかないからだ。すでに商品となりうる人材でなければ、データベースに登録しても意味がない。このデータベースは、自分で育った人にのみ役に立つのである。

こんなことより、国にはもっと根本的にコンテンツ制作者の育成についての施策を考えてほしい。それは教育のシステムの問題でもあり、文化の問題でもある。こうなると、問題は経産省の領分をはるかに超える。

コンテンツ振興の問題は、経済のみならず、通信・放送はもちろん、文化や教育にまで広がる大きな問題である。他の問題とも合わせ「スポーツ&コンテンツ省」というような新設の部署があってもいいのではないかと思うのだが。

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